誓いの指輪
7月1日午前10時に二人はキリス空港に着いた。
空港からは、もう海が目の前に見えていた。7月の暑い日差しが肌を焼く。
二人はラーの冒険者ギルドへ行き登録した。これで、7月2日の10時からダンジョンへ入れることになる。
そのままの足で予約していたホテルへと向かった。ホテル・キリス・東海岸というリゾートホテルだ。
中年の受付者が担当してくれた。
「クウガ・レイ様とユウカ・レイ様ですね。本日から五日間新婚旅行ですか、おめでとうございます」
ユウカがクウガの方を見るが素知らぬ顔をしている。
「はい、ありがとうございます」ユウカはにっこり笑った。
部屋はホテルの最上階、6階の海側にあった。
予約していたのは2階だったし、海とは反対の空港側の部屋だったし、ここはダブルベッドだが、元々はツインルームのはずだった。
「クウガ、何を企んでいるの?」ユウカの顔がクウガの近くにまで迫ってくる。
「ユウカとのパーティーを解散したい」真剣な表情でクウガが告げる。
「私が足手まといってこと?」
「はっきり言えばそうだ」そう言われて、今までの失敗が頭の中を駆け巡る。
例えば、大イノシシに追われてコケタことや、スライムを見て失神したことなど、数えたらキリがなかった。
「私が冒険者なんて無理だよね、何となく分かっていたんだ」涙が自然とあふれてくる。
「退職金代わりにさ、これを受け取ってくれないかな」
クウガはミスリルでできた指輪を差し出した。
ミスリルロッドの代わりにもなる指輪で、魔術師の結婚指輪では定番の物だった。
「こんな高い物?バカじゃないの?役立たずの魔術師を追い払うのに結婚指輪みたいな、こんな・・・結婚?」ユウカは泣きながら何かに気付いたようだ。
「俺、もうユウカに危ないことはして欲しくなくて、だから、俺と結婚して、俺のことを待っていてください」
「うん・・・」ユウカは素直にうなずいた。
スライムハンターは禁止です! 神名 信 @Sinkamina
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