第11話~第15話
滴る汗。ここは随分と暑い。水分と塩分を補給しなければいけないと思いつつもアイスクリームに手を出してしまう。目に映る色がちょっと変わって見えているのだが、これは危ないということなのだろうか。いや、そもそも最初からこうだったでなはいか。炬燵の中なので。
世間はお盆休みということで、緩やかな進行をしているように見受けられる。役所も開いてはいるが、人数は減っている。こういったのんびりした空気を感じながらも、この時期が一番忙しい仕事をしている人だっているのだ。そう、ご先祖様を適切に案内するという仕事。
大海原を漂いたいと願っていても叶わない。月明かりの下、どこまでも広がる海に浮かぶことができたらどんなに気持ちがいいのだろうか。仲間であるクラゲのことをうらやましく思って幾星霜。小さな湾どころか重力から解放されることもない私はただのキクラゲ。
軽く叩けば雷雲を作り出せるという伝説の太鼓があるという。これがあれば水不足問題も解決と思って叩いてみたが、効果がない。どうやら雷神様を強制的に働かせるもので、国外の砂漠まで出張したら管轄違反だとその地の神様に怒られてしまうとかなんとか。
ゆっくりとカップを揺らし、コーヒーカップから漂う香りを楽しむ。この豆はどこでとれたものだったのだろうか。焙煎の方法は?
ドリップ方法ですら味が変わると言われているんだっけ──そんなことを考えながら書類に目を通し、一口含む。インスタントなんだけど。
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