アフターストーリー

初デート(前編)

 ゙ 幼馴染から恋人へ ゙


 俺といのりは柚希とのいざこざもひとまずはケリをつけることが出来たので晴れて恋人としてこれからの日々を過ごしていこう! といった感じにはなったのだが.......


「俺は何をすればいいのだろうか?」


 そう。問題はこれなのだ。いのりのことが好きか? と聞かれれば好きだと即答することはできる。もちろんlikeではなくLoveの方でだ。だが、いかんせん幼馴染として10年以上ものあいだ接してきたいのりを恋人として意識して過ごしてくださいと改めて言われると、どうしていいのか分からないというのが本音であった。


「とりあえず、デートにでも誘ってみるか?」


 家でずっと考えていても結論はでなさそうなので、こういった時は行動に移すに限る。そして、こういった思いつきはその場の勢いが大事だ。ということで俺は近くに置いてあったスマホを手に取り電話をかける。電話を掛けるとLINE通話での愉快な呼び出し音が流れ始めるもすぐにそれは止まって変わりにいのりの声が聞こえ始める。


『もしもし?』

 

「なぜに疑問形?」


『だって蒼空から電話だなんてすごく珍しいから! それで? どうかしたの?』


「どこか出掛けないか?」


『行く!』


「早いな.......」


『ちょうど新しい服が欲しかったところなの!』


「それならいつものショッピングモールでいいか?」


『 うん! 1時間後にマンションの下に集合ね! それじゃあ、また後で!』


「えっ、ちょ」


 切りやがった.......。確かに誘ったのは俺だけども.......それにしても1時間後って急すぎやしないだろうか? いやまぁ、別に今日一日暇だったからいいんだけども。

 それにしても、いのりは普段となにも変わらない感じだったな。俺が意識しすぎなだけなのだろうか? そんなことを考えながらも1時間後に備えて俺は支度を始める。と言っても、着替えて髪の毛をワックスやヘアスプレーなどを使って整えるくらいなのだが。


「蒼空!」


「お、おう」


 前言撤回。いのりは明らかに何かを意識していた。普段はあまりしない化粧を今はしており、服だってオシャレに疎い俺でもオシャレだと分かるような服を着ていた。いのりのやつ、こんな服も持ってたんだな.......。そんなことを思いながらいのりを見ていると、いのりも俺の方をチラチラと見てくる。


「えっと.......どうかな?」


「!?」


「.............」


「.......すごく似合ってると思う」


「そっかぁ。良かったぁ」


 そう言っていのりは心底安心したかのようなため息をこぼす。ちょっと待て。本当にこいつはいのりか? なんか、普段よりも大人びているようなあざといような.......。普段の元気いっぱいないのりは最初に俺の名前を呼んだ時だけだったような気がする。


「.......行こっか?」


「あ、あぁ」


 ぎこちない感じではありながらも、俺といのりは目的地であるショッピングモールへと向かって歩き始める。.......この無言な時間が辛い。なにか話さないといけないと思っているのに何も話題が思いつかない。それはいのりも同じなのか、隣を歩いているいのりは俺の方を見たり地面を見たりとなんだか挙動不審で忙しない。


「今日はいい天気だな」


「だね。お日様がポカポカで気持ちがいいね」


 会話終了。いや、いくら話題がないからと言っても天気の話はさすがにないだろ俺.......。そんな居心地の悪いまま俺といのりは目的地であるショッピングモールへと到着したのだった。




【あとがき】

どうも! 白浜 海です!


大変お久しぶりでございます! いきなりですが、今日から頻繁には更新出来ないと思いますが.......少しずつアフターストーリーの方を投稿していきたいと思いますのでよろしくお願いします!


続きを書いてくれというお声を頂いていたにも関わらず、なかなか更新できずに申し訳ございませんでした。

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