第26話 言ってなかったっけ?
昨日の夜には瑠川さんと和真の2人によって柚希と事故で亡くなった春野さんが従姉妹という関係であることが分かったので今日は土曜日ということでさっそく俺達は昨日と同じ喫茶店で集まっていた。
「それにしてもさすがだな.......まさかその日の内に2人の接点を見つけてくるとは思わなかったぞ」
「うん。2人ともありがとうね!」
「まっ、私にかかればこんなもんよ!」
「蒼空とは違って友達はたくさんいるからな蒼空とは違って」
「ありがとう瑠川さん。おかげで友達がたくさんいる以外には何の取り柄もないようなやつの仮説が正しかったという確信に近いものを得れたよ」
「おい! それ以外にも取り柄はあるだろ! 小馬鹿にしたことは謝るから俺にも少しは感謝してくれよ! 意外と大変だったんだからさ!」
とかなんと言って騒いでいるやつもいるけどそれはスルーするとして、これからどうしていくかだよな。今はまだきっかけを得たに過ぎない。このきっかけをどう上手く使うが今回のキーポイントになるはずだからここは慎重にいきたいところではあるんだけど.......
「やっぱり柚希と話し合うのが1番確実だよなぁ」
「え? なんでそうなるの?」
「宮崎さんと話し合うってなにを? ここまでしておいて今更まともに話し合うってくれるとは思わないんだけど」
「まぁ、そうなんだけども」
「けど確かに今できるのは蒼空の言う通り話し合うことしかないかもしれないな.......」
「「?」」
和真は俺の言いたいことが分かってくれているようで賛同の意を示してくれているがいのりと瑠川さんはよく分かっていないようで俺に早く言えよと言った視線を向けてくるので注文していたコーヒーを1口飲んで喉を潤してから話し始める。
「今回の件において1番信頼出来る証拠ってなんだと思う?」
「1番信頼出来る証拠?」
「.......監視カメラの映像とか?」
「残念ながら俺達の通う高校には監視カメラなんてものは無いんだよなぁ」
「それならなんだって言うの?」
「柚希が自分で今回のことは自分がしたって言えばそれが一番だろ?」
「確かにそうだけど.......」
「そんなことできるの.......?」
「まぁ、できるならとっくにしてるよな」
「「要するにダメじゃん!?」」
まぁ、ダメと言われればダメなんだけども他にやりようもないのも事実なんだよなぁ.......。そもそも柚希が証言したとしてもそれを録音していたところでどうやって拡散するのかとか色々と問題はある。音声を加工するわけにもいかないし、録音した音声を編集して柚希の発言だけを取り出したとしても信憑性にかけてしまう。誰かと会話している音声をそのまま拡散するのが確実ではあるのだが、その誰かも注目を浴びることにはなるだろうけどこればっかりは諦めるしかないだろう。
「けど、きっかけは手に入れただろ?」
「宮崎さんとみはるが従姉妹だったってやつだよね?」
「そうだな」
「それで呼び出すにしてもどうやって認めさせるの?」
「いや、そもそもこれを理由に呼び出さないぞ?」
「え? そうなの?」
「いやだって、春野さんと従姉妹なんだってなって言って来ると思うか?」
「確かに.......」
このネタはあくまで柚希との会話でこちらのペースに持っていく時に使いたいネタだと俺は思っている。和真の調べた情報だと柚希と春野さんは従姉妹というよりも双子の姉妹のように仲が良かったらしいので柚希に今回のことを認めさせるきっかけとしては十分なネタだと俺は思っている。けど、そのためにはそもそもの話として柚希を呼び出す必要があるのだが.......
「俺が柚希に話があると言って来てくれると思うか?」
「来ないと思う」
「来ないね」
「来るわけが無いな」
「だよなぁ.......」
満場一致であった。いや、うん。分かってるよ? 俺が柚希に話があるなんて言うと柚希は絶対に警戒するだろうし、警戒するくらいなら来ないはずだ。柚希としても来る義理はないだろうしな。
「けど、涼風さんの呼び出しなら応じるんじゃないか?」
「いのりなら?」
「うん。向こうとしてもこれだけのことをしてるくらいなんだし言いたい事の1つや2つあるんじゃないか?」
確かに和真の言う通りかもしれない。間違いなく俺が話があるって言って呼び出すよりかはいのりが呼び出す方が来てくれる確率は高そうだ。呼び出しに応じて来てくれさえすればあとは俺が話せばいいだけだしな。
「宮崎さんが来てくれたとしてもどうやって黒板に書いたことを認めさせるかだよね」
「それもそうだけど、それよりも先に浮気したことを認めさせ無いとな」
「「「え?」」」
「ん? 言ってなかったっけ? 黒板に書いたことは二の次で俺は浮気したことと噂のことを認めさせたいんだが?」
「「「それは聞いてない!」」」
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