浮気した彼女を見返すために、幼馴染と幸せになります
白浜 海
プロローグ
プロローグ
俺、夕凪蒼空には彼女がいた。彼女の名前は宮崎柚希。学年で1番可愛いだとか勉学において秀逸だとかそんなことはなかったが俺にとっては最高で自慢の彼女だった。
俺達が付き合ってもうすぐ3ヶ月を迎えようという時に柚希に今から会えないかと言われたので俺はすぐに支度をして家を出た。
「お前、柚希と別れろよ」
「.......は?」
そして、脅迫された。俺の目の前には今、俺の彼女である柚希と見るからにチャラい男が立っていた。そして、見るからにチャラい男に柚希と別れろと脅迫されたのだ。
指定された場所に行くと既に柚希がいたので駆け寄って行くとこのチャラそうな男が急に柚希の横に現れたのだ。
「な、なんで、お前にそんなこと言われなきゃいけねぇんだよ」
「おいおい、声が震えてるぜ? なんでかって? そんなのお前なんかより俺の方が柚希とお似合いだからさ」
「う、うるさい! 柚希も黙ってないで何か言ってくれよ!」
俺はさっきからチャラそうな男の横で黙って俯いている柚希に声をかける。もしかしたら、柚希もこの男に脅されているのかもしれない。この男ならそういった事をやりかねない雰囲気がある。
「.......助けて」
「柚希.......俺が」
「なんて言うと思った?」
「.......え?」
「俺がなに? もしかして助けてくれるの? うわぁ、かっこいいぃ! でもぉ、余計なお世話なんですけどぉ?」
柚希は何を言っているんだ.......。いや、分かっている。分かってはいるけど俺がそれを受け入れることができないのだ。だって、柚希は.......
「ふっ、ははははは。やっぱ、お前は最高の女だよ柚希! そこのもやし男なんかには勿体なさすぎるぜ!」
「ごめんね蒼空。私、優吾くんのことが好きになっちゃったから別れよ? あっ、蒼空に拒否権なんてないんだけどね? ふふふ」
俺はもう自分が一体何を思い何を考えているのか自分でもよく分からなくなってしまっていた。俺は今、悲しんでいるのか? 怒っているのか? 分からない.......けど、1つだけはっきりと言えることがある。
゛悔しい ゛
これが浮気されたからなのか、馬鹿にされたからなのかは分からないが悔しいことだけは確かだった。
「.......いいよ」
「おっ、何か言ってるぜ柚希?」
「えっ、聞こえなぁい。もっとおっきな声で話してくれないかなぁ?」
「お前みたいなやつはこっちから願い下げたって言ったんだよ!」
そう言って俺はこの場から走り去って行く。一刻も早くこの場から離れたかったのだ。あの2人の顔を見ているだけで吐き気がする。
走り去っていく俺の後ろからはあの2人の笑い声が聞こえるが俺は気にせず走る。走り続ける。そして、気づけば俺の住むマンションの前に着いていた。
「はぁはぁはぁはぁ」
「蒼空? どうしたの?」
マンションの下で俺に声を掛けてきてくれたのは涼風いのり。同じマンションに住んでいる俺の幼馴染だ。いのりとは幼稚園の頃からずっと一緒にいたので幼馴染というよりも双子の兄妹と言った感じかもしれない。
「いのりか.......」
「やっぱり蒼空じゃんって、どうしたの? すごい顔してるよ?」
「.......何でもねぇよ」
「絶対に嘘! 何にも無いのにそんな真っ青な顔色になる訳ないでしょ! .......彼女さんとなにかあった?」
「!?」
いのりには昔から隠し事なんて出来なかった。何故だかいのりは俺の嘘にはやたらと敏感なのだ。嘘をついてもすぐにバレるのでいつしか俺はいのりには嘘をつかなくなっていた。今、嘘をついたばっかりなんだけど.......。
「やっぱりね.......何かあったのか聞いてもいい?」
「.......浮気された」
「!? やっぱりね.......」
「やっぱりってなんだよ!」
「私、蒼空に言ってあげたよね? 宮崎さんに告白されたから付き合うことになったって私に報告してくれた日にあの人はあんまり良くないと思うよって」
確かにいのりは俺にそう忠告してくれていた。けど、俺は人生で初めての告白に舞い上がってしまっていたので、いのりの言うことを無視して何も考えずに柚希と付き合った。その結果がこれだ.......。
「まぁ、告白されて浮かれちゃったっていう蒼空の気持ちも分かるけどね.......」
「.......悔しい」
「なら、見返してあげないとね」
「見返す?」
「そっ。蒼空と別れたことを後悔するくらい蒼空が幸せになればいいと思うよ。蒼空となら自分もあんなに幸せになれたのかもしれないってね」
確かにそんな事が出来れば最高だ。浮気したことを後悔させてやれたらどれだけいいだろうか.......。けど俺には、
「俺には無理だって顔してるね?」
「.............」
「大丈夫。蒼空ならできるよ。私も協力するしね」
「協力?」
「そっ。だから、私達付き合っちゃおっか?」
こうして、俺は浮気した彼女を見返すために幼馴染との交際が始まった。
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