第20話 願いを止めた力
「おはよう。目覚めはどうかね?」
元気そうな様子で部屋に訪ねてきたリコに微笑むレイ。つられてリコも苦笑いで返事をする
「良いような、良くないような……そんな感じです」
「そうかい。まあ、二日も寝ていたからね」
フフッと笑うレイを見て、リコが恐る恐る問いかける
「あのー……。何があったのですか?それに、ミクは……」
「あの子は今、寝ているよ。起きないように術もかけている」
「え?なんで?」
「本の暴走が少し面倒だからね。君の魔力も奪っちゃったからね」
「私の?」
レイの言葉に首をかしげ、後ろにいるクルミとモモカの方に振り向く。二人もあまり話を理解していなのか、少し困った顔をしている
「リコ、魔術は使えるかい?」
とレイに言われて、振り返り戸惑うリコ。真剣な表情で見守るレイと、再びクルミとモモカを見てみると、不安そうな表情で見ている二人に更に戸惑いは増えてくばかり。それでも、ふぅ。と一息ついて、目をつぶり集中するリコの様子を息を飲んで見守るクルミたとモモカ。しばらくすると、リコの手から水が溢れ、水がリコを包み込んでいく
「大丈夫そうだね。あまり力の使い方が分からなかったのか……」
リコの魔術を見て、ホッとしたのか椅子にもたれるレイ。クルミとモモカも、いつもと変わらない様子のリコの魔術を見て、ホッと胸を撫で下ろしている
「あの……ミクは何を?」
「本の力を得ただけさ。欲しい人もいれば、願わない人もいる面倒な力だよ」
レイの話を聞きながら、魔術で出した水を消すリコ。レイの説明を聞いても、あまり理解できずに、また不思議そうな顔をしてる
「しばらくあの子は眠り続けてもらう予定だ。両親もその間に見つかれば良いが……」
はぁ。とため息ついて、クルリと椅子を回し動かし、窓を見るレイに、またリコが恐る恐る話しかける
「私、ミクに会っても良いですか?」
「構わないよ。ただ起こさないようにね」
「……はい」
レイにペコリと頭を下げて、振り返りクルミとモモカを見て苦笑いするリコ。三人が部屋を出ようとした時、レイが、またクルリと椅子を動かして、リコ達を呼び止め話しかけた
「クルミとモモカは、しばらくリコと離れないように。何かあったら、すぐに連絡を」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます