鹿扇館で……
世も末コウセン
3階75号室
僕達は、とある館へと足を運んでいた。
『鹿扇館』…なんと読むのかはわからないが、この館では、怪現象が多発しているらしい。その内容はこの館に入ると出てこないと言う内容だった。
僕達は、学校のオカルト同好会の関係で、この館に出向くこととなった。
今回のメンバーは3人……。
マサト、アケミ、僕の3人だ。
マサト「やめておこうぜ?」
アケミ「男の子なんだから怖がらないの」
マサト「だってー」
僕「早く入るよ!マサトもメソメソしてたら逆に幽霊とかに取り憑かれるかもね」
そんな冗談を挟みながら、僕達は屋敷の扉を開ける。
マサト「おい!スリッパが並べられているぞ!それも3つ!俺たちを引き摺り込むつもりなんだ!」
僕「それはないんじゃないかな?」
アケミ「そうよ。怖がっているなら、もういいわ。あなたは放っておく」
マサト「わかったよ!行くよ」
こうして僕達は館へと足を踏み入れた。
?「た…すけて」
一瞬少女の声が聞こえた。
僕「⁉︎」
マサト「今声が!」
アケミ「き…気のせいよ」
僕達は自分にそう言い聞かせながら、電気のスイッチを探す。
マサト「なぁ、ここって古い建物だから、電気とかないんじゃないのか?」
僕とアケミ「あっ……」
壁を見ると、一本だけ溶け切っていないロウソクがあったので、それを抜いて、玄関付近にあったランタンに装着する。
マッチが置いてあったので、火をつけた。
ボゥ……と火がついて、僕達の視界はだいぶ明るくなった。
?「助け…て」
僕「聞こえたな」
マサト「もう、帰ろうぜ!」
?「か…えらないで」
マサト「ひーー!」
アケミ「情けないとは…言えないわね」
そう言いながら、2人は震えていた。
僕「君はどこにいるんだい?」
マサトへの反応を見る限り、少女は僕達の声を聞いているのだろう。
?「3階の75号室」
僕「わかったよ」
僕は、怖がる2人に「行こう」とだけ行った。
ギシギシと鳴る階段はこの館の老朽化を体現している。
3階までついたときにはロウソクが全て灯っていた。
?「こっちに…来て」
マサト「……。わかった」
マサトは覚悟を決めたのか、僕達の先頭に立って歩き出した。
3階75号室の前までやってきた僕達はその部屋のドアを開ける。
ギィーーと鈍い音がしてドアが開く。
マサト「なんだよ!これ!血溜まりじゃないか!」
アケミ「ひっ!」
?「ようこそ。さぁ、中にいらっしゃい」
僕(そろそろだな)
僕は腰から血のついたナイフを取り出す。
アケミ「ちょっと、何やってるの!」
アケミは僕のナイフを見て悲鳴を上げる。
僕「ようこそ。最後の儀式参加者諸君」
僕はナイフについた血を舐めながら、アケミに近づく。
アケミ「嫌よ!死にたくない!」
僕「大丈夫さ。痛くないからね」
そう言って、僕は彼女の心臓を、ナイフで突き刺した。
僕「これで、64人の生贄を揃えれたね」
?「そうね。ご苦労様…始めましょうか」
僕「マサトは食ったか」
?「えぇ、筋肉質で美味しかったわ」
僕「そうか、こっちの肉は少し甘い感じがしたよ」
?「へぇー、高級品じゃない」
僕「ほらよ。半分やるから、儀式の準備をしろ」
?「はいはい」
僕「儀式を始めよう!この世界から、太陽をなくす儀式を!」
3階75号室で生贄を64人集める。
『語呂合わせ37564《皆殺し》』
太陽を無くした人間はすぐに死ぬが、僕達は死なない。なぜなら、僕達は、太陽の光でしか死なないのだから。
冷え切った心に温かい太陽の光が当たると、僕達は燃える。
?「もうすぐね」
僕「そうだな」
僕は、コンビニで印刷したチラシを町中に配る準備をした。
チラシ『凍えそうな方、どうぞこちらへいらっしゃい。温めて差し上げます。場所は鹿扇館まで、お越しくださいませ』
屋敷のドアが開いた。
新たな食料を取り入れるために。
完
鹿扇館で…… 世も末コウセン @kota3383
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