さくらは本当に頑張って

 さくらは夕方からバイトなので昼までゆっくり寝ていようかと思っていた。


 しかし、朝から弟、妹たちがうるさく、母にもおつかいを頼まれたので仕方なく起きる。


 さくらの髪がボサボサなのを見て、妹がブラシをかけてくれる。小学生ながらそういうことが自分の仕事と思っているようだ。

 

 荷物持ちのため中3の弟を1匹捕まえておつかいのお供をさせる。


 4人きょうだいの中では姉の命令は絶対であった。おつかいが終わるともう昼になっていた。母親はパチンコに出かけていていない。


 さくらが買ってきた材料の中から適当に見繕ってみんなにオムライスを作ってあげた。


 弟や妹たちは本当に喜んで食べてくれる。


 こいつらかわいいなと思いながらさくら自身はダイエットの為ヨーグルトだけを食べた。


 家にはwi-fiが置いてあるのでギガ数を気にせず動画が観られる。


 ドラマや動画を観ながらまったりしていると、そろそろバイトに行く準備をしなければならない。


 鏡の前で化粧をし始めると妹がじーっとこちらを見ている。


 憧れてでもいるのだろうか。


 準備が終わり家を出ようとすると母親が紙袋にたくさんのお菓子を持って帰ってくるところだった。


 おそらく、今日のパチンコは勝ったのだろう。


 「いくら勝ったの?」とさくらが聞く。


 「5万円」


 「じゃあ、2万5千円置いて行って」


 「え、うん分かったわよ」


  最近になってようやく、お金の管理はさくらがすることになった。母に持たせてアパート代の未納から立ち退けとまで言われたことがきっかけである。

 

 また、別れた夫、さくらからすればお父さんになるが、からの慰謝料の振り込み先も6月からさくらの口座にしてもらった。


 神無月家は少しずつ経済的に持ち直しつつあった。

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