高坂の家

 表札も立派に「高坂」と書いてある。


 芽衣の家は大塚駅から高校とは反対方向に少し歩いた所にある5LDKの一軒家だ。


 両親とも公務員で一つ下の妹と4人家族である。

 

 家に着いたのが夜8時を過ぎていたので、まずかったかな、と入ってみると、リビングでテレビを観ている父が明らかにイライラしていた。

 

 「ただいま」とだけ言って自分の部屋に上がると、案の定、母からLINEが着て、下へ降りてきなさいとのこと。既に帰宅している妹から矢のようにLINEの質問が着ていたが全てスルーして、リビングに向かった。

 

 父が曰く、遅くなったことを怒っているのではなく、何で帰宅時間を守れないのか等こってり1時間程しぼられ、釈放となった。


 部屋に戻るとすぐに妹が入ってきた。


 「お姉ちゃん、どうだったの?」


 「どうって?」

 

 「黒木 虎さんだっけ?好きなんでしょ?」


 「んー、少しは一緒に居れたかな、でも紗矢もいるし、あの子絶対虎のこと好きだよ!」


 「えーーー!愛を取るの?友情を取るの?」


 「バーカ」


 めんどくさい妹を部屋から追い出しつつも、確かに紗矢と自分の2人が虎を好きなのはまずいかと思った。

 

 Tシャツと短パンに着替えてブラも外すが、最近、また胸が大きくなったのかブラがきつい気がする。


 机に向かい、今週の授業の復習をしながら、さくらにLINEを打つ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る