紗矢の事情 礼の事情

 当日の朝早くから紗矢は入念にシャワーを浴びていた。


 身長は145センチしかなく、体重も30キロ台だ。普段は眼鏡をしていて大人しくあまりしゃべらない。


 浴室から出て、バスタオルを体に巻き、姿見の前で色々なポーズを取ってみる。


 ・・・こんな子どもみたいな体型じゃ男子には相手にされないかなぁ、芽衣なんか身長も155センチくらいあるし、胸も大きいし、性格も明るいし、虎だって礼君だって芽衣みたいな子がいいよね。ハァ。


 紗矢の部屋に戻ると、時間はまだ10時だった。短めの髪はドライヤーで既に乾いている。


 お気に入りのテディベアを抱きながら、あーでもない、こーでもないと悩んでいた。



 礼は前日の夜から緊張していた。虎と真人とは中学時代からの友達だが、女の子と遊ぶのは今日が初めてだった。


 スマホの記事で「女の子に嫌われない方法」等をたくさん読んでみたが、いまいちしっくりこない。


 ゲームをしたり、動画を観ているうちに朝になってしまった。このまま徹夜かと、朝から少しランニングして気合を入れなおしていた。


 ・・・まあ、なるようになるか。ようやくそう思えた。

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