第四章 ~魔王フェーベ降臨~

#45 雷の街《サターン》

イオの髪と瞳の色が赤色に戻った後、

メンバ―のレベル上げをしていた。


現在の俺のレベルは34 イオは32だ。

リシテアとコ―デリア、レアのレベルは30まで上がっていた。

これで、いきなりられる心配は無くなっただろう。


今俺たちは《ディオ―ネ》の噴水広場に来ていた。


「みんな。いいか?」


と言うと、


「なんでしょう!」


そう元気にイオは返事をした。


「これから、雷のサタ―ンに向かう!」


あれから、今まで通過したエリアのクエストを殆どクリアした俺達は、

ついに新たなエリアに進むことにした。

ちなみに蒸気のマ―ズはまだ探索していない。


なぜならあのエリアに入ったらコ―デリアとリシテアが消去されてしまうからだ。

その件に関しては加賀美がなんとかしようとしている。


「雷の街? とても騒がしそうですわ」

「ど―ん! って大きな雷がずっと鳴っているのかしら?」

「か、かみなりですかっ」


レアは肩を震わせている。


「かみなりっ。こわいですっ」


ぷるぷるぷるっと雷属性の彼女は肩を震わしていた。

……なんでレアがビビってるんだよ。お前雷属性だろ。


「ぷるぷるぷるぷるっ!」


レアの意外な弱点、発見。


「レアちゃん。大丈夫よ。私達がいるもの。怖くないわ」

「そうですよ! なにかあったらイオが守りますから!」

「そうだ。俺達が守るから安心しろ。なにも怖くないさ」


「は、はいっ」


レアはうなずくも、震えていた。


「今からここで馬車を借りて、《サタ―ン》に向かうぞ。冒険の始まりだ!」


「冒険ですって。なんだか、ワクワクしますわね!」

「みんな揃って冒険するのも久しぶりねっ!」

「怖いですけど、楽しみですっ!」


俺達は手のひらを合わせる。


「「――しゅっぱ―つ!!」」


手を離し、この街の騎士団長のリシテアに馬車を借りるよう頼んだ後。

雷のサタ―ンに進むことにした。


◇◆◇◆


カタカタと馬車が揺れる。

ああ、みんなそろって馬車に乗るのはどれくらいぶりだろうか。

かなり久しぶりのような気がする。


みんなと馬車の中で楽しく談笑だんしょうし、しばらくが経過した。


「すぅ……すぅ……」


「みんな寝たのか。俺も眠たいけど……もしもの時のために監視し、ない、とな……」

『来栖。何かあったら僕が起こすよ。君は安心して寝ているといい』

「助かる……」


そうして俺は深い眠りについた……。


◇◆◇◆


――ド―ン!


馬車は急停止する。


「きゃっ!」ぷるぷるぷるっ

「ぎょえっ!」


レアとコ―デリアは叫んでいる。


「な、なんだ!?」


――ド―ン!


「ぷるぷるぷるっ!」

「ぎょえぇぇっ!」


「皆さん《サタ―ン》に付きましたよ」


、と馬車を扱っていた人は言う。


「ああ、ここが《サタ―ン》の入り口なのか、ありがとう」

「いえいえ! 私はこの辺で待機しております。また移動するときはお声ください」


俺達は馬車から降りた。

雷のサタ―ン付近――はさっきからバ―ンと雷が常になっており、

被弾でもしたら一溜りもなさそうだ。

街の中の住民は大丈夫なんだろうか?


景色はすっかり夜になっていた。


「さて、みんな今から《サタ―ン》の中に入るぞ」

「わかったわ」

「行きましょう!」


リシテアとイオはそう返事をした。


俺達は門の前に近づいた。

すると、門番の人が不審者が来ないように見張っているようだった。


「あの……すみません。通してもらえないでしょうか?」

「ああ、勿論構わない。今から門を開ける」


――ガラガラ。


門が開いていく。


そして俺達は《サタ―ン》の中に入っていった。


「おおっ……」


街に入って一番目に引いたのは、

雷が地面に落ちるのを防ぐための――避雷針ひらいしんがあちこちに設置されていることだった。

成る程、これで街から落雷を防いでいるんだな。

これなら市民も安心か。


当たり前のように雷がド―ンと鳴り響いているが、

流石に慣れているのか街の住人達は平然としている。


街自体はとくに変わった様子は無く、

至ってシンプルな構造だった……あちこちにある避雷針を除いて。


レアとコ―デリアは二人で密着し歩いていた。

雷が落ちる度に肩をぷるぷると震わせたり悲鳴をあげている。


俺はクエストを探そうと酒場に向かおうとした途端とたん

後ろから走ってきた兵士らしき人物に声を掛けられた。


「ハァ……ハァ……そこの方っ! 勇者様ですか!?」


兵士は切羽せっぱ詰まった表情をしていた。


「なにか問題でもあったんですか?」


俺は焦っている騎士にそう聴いた。


「大変です! 街の外で全身に雷を纏った巨大なコウモリの魔物が暴れているんです!」

「どういうことですか? 詳しく話していただけませんか?」

「……我々兵士や騎士達が束になって襲いかかったんです。

 ですが……全員コウモリの化物に……何もできずに全滅しました」


全滅……?


「そいつは何処にいるんです!?」

「この街を出てすぐ北に進んだところにいます。どうか、勇者様! 助けてくれませんか?」

「わかりました。俺達がなんとかします!」


そう言うと俺達は街を出て、北に向かった。


◇◆◇◆



《サタ―ン》から外に出て、北に少し進むとソイツはいた。

五メ―トル強あるソイツは体中に電撃を纏っているコウモリ型のモンスタ―だ。

名前は――《ライトニングバット・モンスタ―》


この名前の最後に付く“モンスタ―”という文字……

前回戦った《ブレイズウッド・モンスタ―》と関係があるのか?


『キィキィッ!』


俺達は臨戦態勢に入った。

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