#1 エンカウント

俺は洞窟の中にいた。


ゲ―ム開始後に洞窟から始まるように設定しておいたのだ。


ここから出た先は俺が作った広大なフィ―ルドがある。


なぜ洞窟からスタ―トしたのかというと、

いきなり広大なフィ―ルドだとつまらないだろう?



ちなみにこの洞窟にはこのゲ―ムのゲ―ム内容を

管理用コンピュ―タを設置してある。


このコンピュ―タ―はログインした人物にしかアクセスできないようにしてある。

これさえあれば、VR世界内でもどんどんゲ―ム世界を広げることができるからな。俺って天才!


そして、目の前には宝箱がある。

中には俺が用意した装備一式がある。


武器はエタ―ナルソ―ド。防具はドラグニティ一式だ。

ドラグニティ一式は軽装防具であり、

ひらひらとした服である。


宝箱を開き中身を獲得する。

俺は、メニュ―画面を開き、獲得した装備を装着した。


「さて、行くか……。洞窟をでよう」


そして、俺はこの洞窟から抜けていく。

だんだん光が増していき、そこには広大なフィ―ルドがあった――


「おお―! これが俺のつくった世界!」


綺麗きれいな野山、鳥のさえずり、どこかから聞こえる水の音、明るい太陽、空気感。

なにもかもがリアルだ……。


近くには、大きい街のようなものが見える。

それは、俺が憧れてた世界そのものだった。

本当にすげェ!


「ついにやってきたぞ―! 俺はこの世界に来たんだ!」


俺はしばらく広大な世界の雰囲気に浸っていた。


「ふぅ―満喫した。……とりあえず近くの街にいこう」


街は……と、あそこかな?


「街には俺が設定した美少女がいるはずだ」


俺は近くの街まで歩いていこうと思ったが、視界の先に、何か物体が見える。

物体の数は三つ。

物体は、こっちに向かってゆっくり近づいてくる。


「あれはなんだ?」


俺はあの物体の姿をよく見た。

あれは……。


「そうだ。俺が設定したモンスタ―、《ゴブリン》だ」


いわゆる雑魚モンスタ―のステ―タスはAIが自動で設定してくれる。


俺は剣を構え、戦闘態勢に入った。

ゴブリンたちは、棍棒を持っている……。


……三体のゴブリンは俺を囲むような体制たいせいを取る。

一体のゴブリンが合図をすると同時に、他の三体のゴブリンもおそってきた!

俺は一体のゴブリンの棍棒をなぎ払い、そのまま切り刻んだ。


すると、ゴブリンから血がブシャ―と流れ、倒れる。

少しびっくりする俺。

そういえば、流血りゅうけつ表現オンなんだっけ。


そして、そのまま残る二体のゴブリンも剣で攻撃する。


ゴブリン達はそのまま“倒れていった”

その直後。経験値獲得の文字がUユーザーIインターフェースに表示され、レベルアップ! と表示された。


スキル:《三連撃》を獲得。とUIに文字が表示された。


「おお―レベルアップしたぞ!

これからどんどんモンスタ―を倒して強くなっていくぞ」


等と、俺はこの世界の住民が聞いたら意味のわからない独り言を呟く。


「三連撃ってスキルは確か一瞬で三連撃を放つスキルだな、ふむふむ」


このセリフも勿論ひとり言だ。


「スキルを使うとMPを消費するから気をつけないと」


そして俺は街へと進んでゆく。


ふと。


なんとなく倒したゴブリンの方向に振り向いていく。


「あれ?」


通常、倒したモンスタ―はHPがゼロになってから、

しばらくすると消滅するように設定してあるはずだ。

しかし、倒れたゴブリンは倒してしばらく過ぎているのにも関わらず、

消滅していなかったのだ……。


「システムのバグだな」


……このゲ―ムはとてつもなく広大だ。

だから、バグの一つや二つはあってもおかしくはない。


「まあ、こんなこともあるか」


そう俺は判断し、街へと向かった。


◆◇◆◇


街へ到着し、仲間になってくれる予定の美少女NPCを探すことに。


この街には俺が設定した緑の髪とひとみ

ひらひら服を着た、巨乳のお姉さん系のNPCがいるはずだ。


街を歩いていると、ふらふらと歩いている女の子がいた。

よくみると、髪は緑色で緑の瞳だった。そう、彼女は風属性なのだ。

そしてなによりも――


(おおっ! 間違いない! あの娘だっ……)


「あのっ」


俺は自分で作ったとはいえ人と会話したことなど殆どないため、緊張した。

しかし、勇気を振り絞りなんとか声をかけることができた。


「なにかな〜?」


緑髪の巨乳少女は俺の前で屈み、上目遣いで俺を見る。


「えと……あの……」


俺は突然の“NPC”のモ―ションにたじろぐ。


「ん―?」

「…………」


声が出ない。

喋れなくなってしまった。

当然だよな、だってそもそも女の子となんて会話なんてしたことないんだし……。

しかもこんなにかわいい子とか、喋れって方が無理ってもんだ。


「あなた、その装備どうしたの?」


急に声をかけられた。


「ど、どうしたってどういう意味ですか?」


変な敬語が俺の口から飛び出し、うろたえる。


「だってその防具にその剣は、

 古の遺跡ウラノスを守るドラゴンを倒さないと貰えない装備じゃないの?」

「え、ええ」


「しかも、一体や二体倒す程度じゃ入手できないって聞いているわよ?」

「そ、そうなんですよ―。あはは」


会話が、出来ない……っ!


「それを持っているってことは……。あなた物凄く強いのね!」


俺は恥ずかしくなり、曖昧あいまいな言葉しかでてこなかった。


「え、ええ」


巨乳のNPC言った。


「凄いわ! お姉さん気に入ったわ! あなた、お名前は?」

「は、隼斗ですぅ」

「ハヤト……変わった名前ね! でも素敵!」


緑髪の彼女は眼を輝かせていた。


「私は《リシテア》っていうの! このディオ―ネの騎士団長なのよ! これからよろしくね!」

「あ、ああよろしく!」


俺とリシテアはを交わした。


「ところでハヤトくん、急なんだけどちょっとお願いしてもいいかしら?」

「えっ?な、何です?」

「この街近くのカリロエ付近にね、トカゲの魔物が大量に現れているの」


緊迫した表情をしたリシテアは続けて言う。


「《カリロエ》の人達はそのトカゲ達に、襲われるんじゃないかって怯えていてね」

「そうなのか……」

「勿論、この街の騎士達もトカゲ討伐に向かっているんだけど、 兵士たちは他の任務にも忙しくて人手不足なのよ」


人手不足……かぁ……。


「だからなかなかトカゲ達を倒しきれなくて……。

 それにトカゲもなかなか手強くて、簡単には倒せないの」

「だから、物凄く強いハヤトくん!」


リシテアは手をパンと合わせて言った。


「お願い! 私と一緒にトカゲ討伐に行ってくれないかしら!」

「あ、ああ」


俺は久しぶりの人とのコミュニケ―ションにうろたえた。


「それに、《カリロエ》には私の友達もいるの! ね! お願い」


お願いと言いながら、リシテアは俺に抱きついてきた。


――むにゅ


「ひゃあ!」


俺は頭が真っ白になった。


むむ、胸が当たって……


柔らかい感触のお、お、おっぱ……


――プシュ―。


俺の頭は爆発した。


「ね? この通り!」

「いきましょうぅ」


俺は意識が朦朧としたまま、村付近の場所に向かうことにした。

しばらく歩いてようやく意識が戻りつつある頃、

俺は歩きながらぼんやり考える。


村の付近にトカゲのモンスタ―がいると言うが、

そもそも村が襲われることについては特に心配することではない。


なぜなら俺は、村や、街にモンスタ―が襲撃するという様に設定していないからだ。

だから、一般NPCがモンスタ―にやられるという心配はないのだ。


これはただのクエストの一つであり、特に問題はないわけだ。

普通にトカゲモンスタ―を倒し報酬を貰い、帰ってくるだけなのだ。


そんなことを考えているうちに俺はリシテアと共に《カリロエ》村付近に到着した。

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