悪の組織へようこそ!
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第1話 クソみたいな教室へようこそ!
突然だが。
人って生まれた時は平等なのだろうか?
答えは否。
だって平等だったら。こんなにも俺が惨めなのは可笑しいだろう?
_____________________
この世界には2種類の人間が居る。
魔術使いか超能力者か。
まぁ。簡単に言うと魔力があるか無いか。
それだけの違いだが。
簡単に超能力者と言ったって皆それぞれ使う超能力は違うし、それは魔術使いにも言えることだ。
それはある日突然どこかの国で出たらしい。
でもそんな事があってもこの社会は変わらなかった。
その能力を仕事に活かすもよし。
何もしないもよし。
だった筈だったのだ。
あの日までは。
その名も科学能術対戦と言う。
魔術や能力に長けた者達が世界に反旗を翻したのだ。その数約数千人。全員が若い大人や子供達だったらしい。
それに対し、科学側は何億という兵士と数え切れぬ程の兵器を持っていた。
まぁ。単純に考えれば能術側は絶対に勝てない。
侮っていたのだろう。世界は。彼らを。
その結果。その兵士の全員が死に、幾つ物国が潰れ、地形が変わって漸く能術側の勝利となってこの戦争は幕を閉じた。
その戦争が終わり5年が経った。
俺の住んでいるこの国も重大な損害を受けたが。
これも能力と魔術の力なのだろうか。
全てだ。全てが元通りとなった。死んだ兵士を除く。
だが魔術と超能力を悪用する犯罪は右肩上がりに増えていったが。
そもそも、何故あんな戦争を仕掛けたのかは未だわかっておらず、分かるのはリーダーと言う奴の指示だということのみ。
でも、これで超能力、魔術の恐ろしさが分かった国達は。目には目を歯には歯をなのだろう。
超能力者と魔術使いを集めた学校を作り始めた。犯罪者の抑制の為らしい。
ヒーローの様になって欲しいとの事からその職業はヒーローと呼ばれ始め今ではもうすっかり浸透しきっている。
今俺は中学三年。本格的に将来なんかを考えなきゃ行けない時期だが…
「お前はァ!何時になったら志望校をきめるんだぁ!?」
そう。決めていない。志望校を。
ヒーローの育成高にでも通えればいいのだが。
何でも授業料がかからないらしい。
俺は水滴を操るとかいうゴミ能力なのだからそんなの無理だ。
目の前に座っている毛根も婚期も終わった教師は顔を真っ赤にして怒鳴っている。職員室なので他の先生からの視線が痛い。
「だから普通校ですって。どこでもいいんで。」
「お前今頃普通校とか…将来どうするんだ?」
「知りませんよ。そんな事。」
「この学年の子は皆ヒーロー育成高だぞ?
中にはトップクラスの育成高に行く子もいるのだぞ?」
「弱いですし、痛いの嫌ですし。
もう勝手にやってろって感じなので。
じゃあ女ヒーローの専業主夫になります。」
「こんなに夢の無い子は初めてだっ…!」
頭を抱える先生。
先生。専業主夫ですよ?夢しかないじゃないですか。
キーンコーンカーンコーン。
昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴る。
「明日だ。明日必ず考えろ!お前頭良いんだから!」
「は、はぁ。ありがとうございます?」
誰も居なくなった廊下をとぼとぼと歩く。
本当にあの戦争は色々な物に影響を与えた。
犯罪率や就職率。
そして1番多いのが。
俺は教室のドアを開ける。
すると黒板消しが顔面目がけ物凄いスピードで飛んでくる。
俺は何か習っていたわけでも、反射神経がいい訳でもない。普通に当たる。
白い粉が宙に舞う。
「ギャハハハッ!負け犬君のお通りでーす!」
そう。イジメだ。
「ねぇねぇ?凛斗くん?志望校はー?
ねえ皆見て!普通校だってっw!」
教室が笑いに包まれる。
あんなに優しかった筈の委員長などどこにもいない。
いや正確には目の前に居るんだけど。
「返せ。」
俺は一言告げ、ひょいと取り返す。
委員長は気に入らないようでムスッとした顔をするが昼休みが終わっていて良かった。
何も追撃してこない。
能力大した事ないと知れた瞬間これなのだから。
ビックリだ。本当に。
机に戻ると机と椅子はチョークの粉まみれ。
椅子にはご丁寧にボンドもこびりついていた。
もしかして…俺のこと好き?ツンデレかな?
ははは。
本当に笑えない冗談だ。
チョークの粉をパッパッと払うと中にはマジックペンででかでかと。
『玉屋 凛斗!負け犬参上!』
と書いてあったが。
「うわぁ。恥ずかしくないのかこれ書いて。」
ふっ。煽る。煽る。煽りまくる。
なんてったって今は5時間目の直前だ。
何も相手はしてくるとこはない。
でも。本当に何時からこうなったのだろうか?
俺の能力が大した事ない事なんて小学生から知っている事だし。
今になってバレてそれで軽蔑ってのもなんか変だ。
まぁ。十中八九アイツだろうが。
転校生の屑屋さん。
あいつが来てからなんか様子がおかしくなった。
悪い噂でも流しているのだろう。
妹にまで死ねと心を込めて言われるしな。
最近。
付き合っていたと勘違いしていた幼馴染はアイツと付き合い。
いやなんか「告白なんてしてないっ!」って言われたけど。俺の記憶では言われた気がする。
夢と間違ったのだろうか。恥ずかしい。
まぁ。どうでもいいか。
早く帰って本を買いに行こう。
今日は漫画の単行本の発売日だ。
ヒーローなんてのは2次元だけでいい。
そう思う俺だった。
でも本当に。
「惨めだな。俺って。」
5時間目の開始のチャイムと同時にポツリと呟く。
その声は先生の挨拶によってかき消された。
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