31話 雪降る世界、震える少女 2
「雪の服、買いに行かなきゃな」
「そうだね。」
「お父さん、お母さんなんの話してるの?」
「雪の新しい服を買いに行こうって話だよ」
「新しい服?やったー!ヽ( ´ ▽ ` )ノ」
「良かったね、雪ちゃん。」
「うん!お母さん、お父さんありがとう!」
喜ぶ雪を見るととても癒される。
雪につられ僕達も笑顔になりながら話を進める。
「繭の次のバイトの休みっていつだっけ?」
「明日だよ。」
「じゃあ明日行こうか。」
「私楽しみ!」
笑顔ではしゃいでる雪の頭を撫でる。他の人より体温が低いのか、ひんやりとした感覚がしたのが少し気になった。
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今日の夜ご飯は雪の希望でハンバーグとなった。繭いわく、
「雪ちゃんの為に張り切って作った!」
との事らしいので僕もかなり楽しみだ。
出来たてのハンバーグを繭が運んでくる。テーブルに置かれたそれによって美味しそうな香りが辺りを包み込む。
「いただきます!」
雪が誰よりも早くそう言って食べ始める。まだ熱いハンバーグを口に入れて涙目になりながらも美味しそうに一生懸命食べていた。
「いただきます。」
僕と繭もそう言い、ハンバーグを食べる。繭のご飯はいつもとても美味しいが、今日のはそれらよりもずば抜けて美味しかった。
食事を終え、お風呂の時間となった。繭は雪と一緒にお風呂に入っている。たまに楽しそうな声が聞こえてくる。それを聞いて僕は緋莉と茶眩が来た日のことを思い出した。あの日も繭と緋莉が2人で楽しそうにお風呂に入っていた。今はこの家に居ない2人のことを思い出して少し悲しくなった。あの二人のは家族のような存在だったし、大好きだったからだ。
そんなことを考えていると2人がお風呂から上がってきた。2人とも笑顔だった。
お風呂も入り終え、あとは寝るだけとなった。雪は眠気の限界が来たのか既に眠っている。ちなみに布団の並び方は僕と繭の間に雪が寝ているという感じだ。
「そういや、雪止まないね。」
唐突に繭が言う。窓の外を見てみると確かに少しではあるが雪が降っていた。
雪の事を見つけたのは昨日、つまり今日1日中、いや昨日の朝からずっと降り続けていることとなる。
「でも、ちょっとだけだし問題は無いから大丈夫じゃない?」
「そうだね。」
繭も別に問題は無いと感じたのかそう返す。
「でも、明日は止んでて欲しいね。」
「そうだね、雪ちゃんとお出かけだもんね。」
買った服が雪で汚れて欲しくないし、寒い中にまだ体力が完全に回復したか分からない雪を長い時間出したくなかったからだ。
「じゃあ、明日の為にてるてる坊主でも作って寝ようか。」
「そうだね。」
僕と繭で5つのてるてる坊主を作り、窓際に吊らす。
「明日は晴れますように。」
そう言って僕達は寝室に向かった。
「それじゃあ、おやすみ。」
「うん、おやすみなさい。」
僕達が眠る間も、止まない雪は降り続けてると知らずに僕は眠りに落ちた。
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