28話 都立天ノ宮教育学校 4
次の日、僕達はテーブルを囲んで話し合っていた。議題は昨日見た書類の1文、
―入学者及びその保護者のサインを書いてください―
というものについてだ。
「……どうする?」
僕が問うが返事はない。全員俯き表情を暗くさせるだけだった。
普通の人ならこんなことにはならないはずだ、しかし緋莉や茶眩は違かった。この2人は育ての親から逃げ、今ここにいるのだ。更に、緋莉の母親である
「詩歌さんの名前を書くのは…?」
繭がそう提案をする。しかしそれにも反応はない。
数分間、沈黙が続く。
そして、その沈黙を壊したのは茶眩だった。
「僕が…友利を説得します。」
と、そう言って立ち上がる茶眩。それを見た緋莉も、「私もいきます!」
と言って立ち上がる。
こうなってしまった以上、僕たちが行かないという選択肢は無い。
「僕達も行くよ、みんなで説得して絶対に学校に行こう!」
と、力強くそう宣言する。
#
そして次の日、僕達は茶眩達の家がある東の都市へ来ていた。
「ここです」
そう言って茶眩が指を指した。周りの家よりも少し立派な家だ。
コンコン
と茶眩が玄関を叩く。
そして中から人が出てくる。そして
――茶眩の顔を見て、思いっきり頭を下げた。
その光景に僕達は驚く。その人は僕の記憶にある友利その人だったから。
僕達は親切にリビングらしき部屋へ招かれた。
そして前に座って涙を流している女性、友利が謝罪を始める。
「今まで申し訳なかった――」
とそんな言葉から始まる謝罪の数々。今までの暴力の事、前回の誘拐未遂の事、その全てに対しての謝罪を述べる。
そして最後に深く深く頭を下げ、その謝罪は終わった。
訪れる無言の時間、聞こえるのは外で吹いている風の音ただ1つだった。
そんな空間に耐えきれなかった僕は、今日ここに来た理由について話し始める。
「茶眩と緋莉を、学校に入れさせてあげたいんです。その為には友利さんのサインが必要なんです。 ここに、サインをお願い出来ますか…?」
書類とペンを友利の前に差し出すと、友利は頷き、
「もちろんです、私がやってあげられなかったことを…ありがとうございます…」
と言って、スラスラっとサインをした。
「ありがとうございます。では僕達はこれで。」
と言って繭と2人で家を出る。
それから何分経っただろうか、玄関から茶眩と緋莉が出てくる。2人とも目元が赤く腫れていたがわざわざそれを指摘する人はいなかった。
「また来るね、お母さん」
そう言って家に手を振り、背を向ける。
そして2人は僕たちの方を見て、満面の笑みでこういった。
「今日は、ありがとうございました。」
謝罪
長い間休んでいて本当に申し訳ございませんm(_ _)m
何をしていたかと言うと、ラノベを読み、漫画を読み、お正月にはゲームをし、アニメを見ていました。
しっかり反省しております。これからはまた1週間に1、2話の頻度で更新していきたいと思います。
また、久しぶりの回のくせに短くてごめんなさい。
それではまた…!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます