第6話 方針を立てる

「この辺りでいいだろう。では始める。少し離れてろよ」


俺達は慎士の提案で森へと来た。

[幻想の書]による金稼ぎは失敗し、宿に泊まれず現実的に考えて他人の家に泊まるというのはなかなか難しい。よって今に至る。慎士が字を書き始める。丁寧な字だ。


まあ、その慎士が果実の字を書いてもクソ不味かった。鈴木が書いたと考えると背筋が凍る。

※鈴木は[幻想の書]のカードの元々の持ち主


「ほら、書けたぞ!どうだ、家だ!」


すげぇ!やっぱりやべぇよその異能力!と関心して扉をあけると……


「ちっせぇ!これ本当に大きく字を書いたのか?これマンションの1人用の部屋より小さい!3人入ったらかなりキツいぞ!」


「しっかり書いたさ!見開き1ページ使った!だがこれだ!これはこの異能力の欠陥ポイントだ…」


やっぱなんか不便な異能力だ。ところどころズルができないようになっている。そう簡単にチート能力なんか手に入らないよな!そうだよな!俺はどこかの誰かに叫ぶ。


「なら2人とは別に家(?)建ててくれない?こんな狭い場所に男2人女1人は無理よ!絶対危険……」


「見損なうな!俺達は健全だ!それに友結君のカードの異能力は治癒系。襲われたらどうするんだ!」


「そちらの2人の方が危険よ!寝込みを襲われるかも……!もしものことがあったら叫ぶから」


ひでぇ言いようだなぁ。俺でさえナンパなんかした事ねぇぜ…。てかナンパするよりバイク走らせる方が楽しそうだったわ。


「仕方ないなぁ。ほら!」


慎士が秒で書いた字は友結には見えていないが、すげぇ適当。こいつ絶対めんどくせぇとか思ってただろ。一応家(?)は建った。


「できれば目立つから多く配置する訳にはいかなかったが……。これでいいだろ?んじゃ、夜になるまで今後の方針を考えることにする。ただ適当に進んでいるだけじゃどこかで詰まる」


「そうだな。勝つまでの道を設計してこうぜ!」


俺達は友結側の家(断定)に入り、話しあうことにしたのだった。





〖〗

家の中に入ってみたが、内装は普通の家と同じ。問題は電気関係の物が使えないということ。この異能力はあきらかに複雑な機器は取り扱いが出来ないらしい。


つまり、明かりは外から入る光。風呂は無い。コンロを使えないというなんと不便なことか。


「では、会議を始める。よろしく頼む」


「「お願いしますー」」


俺達は具現化したイスに座り、同じく具現化した黒板に慎士が字を書き、この世界の地図を貼る。

今重要な会議風にやっているが、俺は堂々と足を机の上に乗せる。あ~↑、この体制いいわ~。

………バキッ!


(あっ!やっべやらかした。んだよ机の耐久までカスかよ)


「ほらそこ!机を壊さない!]


「おい、何普通にしてんだよ。机が足乗せるだけで壊れるとかおかしいと思うだろ!」


「いちいちそんなこと気にしない!ちゃんと話しあおうよ」


友結まで……。仕方ない。これはこういう物だ!受け入れろ俺!

…………バキッ!ドガァァァン!!何かが崩壊する音が鳴る。


(痛え!ついにイスまで壊れやがった!クソ!しばらく立っているか…。……なんで友結のは壊れねぇの?体重か?慎士の手抜きなのか?)


「俺達は今ここにいる。んで、今後のことだが、結局どうする?」


無視かよ。俺は少し悲しくなった。あ~悲しいわー(棒)。


「片っ端からプレイヤー潰すでいいだろ。もう」


「そんな簡単にいくなら苦労はしない。……友結君は?」


慎士は友結に問いかける。


「う~ん。わたしなら自分から行かずに待つ方かな。できれば影からこそこそと潰していきたいなあーと」


せこいな。つまり暗殺って感じか?てかこの世界に来てから友結の本性的なのが出てる気がする………。


「まあ、大抵のプレイヤーはそう考えるだろう。まだ相手のカードの異能力を把握出来ていない。未知の相手をするのは危険だ。まずは身を潜めるんじゃないか?」


「いや、ここでは潜んでられねぇぜ?」


「どういうことだ?」


「ここさぁ。まだ俺達以外に来れてないだけで全然プレイヤー来ると思うのよ。俺達が早過ぎた。んで結局鉢合わせていざ決闘って感じか」


俺達には自転車という素晴らしい物があったからな。歩くより断然早い。慎士は考える。 次の言葉には2秒とかからなかったが。


「ならこの街に来たやつを倒す。そして次も同じく。しばらくしてプレイヤーが来なくなるまでってのでどうだ?この街については地形を把握している俺達が有利。なら先手を打てるだろう」


「残っている人数は………8990。まだ10人くらいしか減ってないね。ならこの街に来るプレイヤーは多いんじゃない?何よりこの街が他の街の中で一番近いし」


そんな残ってんのか…。まあ、1日たっただけだからなのもあるだろうけど。


「よし!俺は決めた!待ち伏せして他のやつらを成敗ぞ。2人もいいか?」


「うん。いいよ!」


友結は完全に乗ってやがる…。貴様、優しいの皮を被ったシリアルキラーだな!?俺はというと、


「ああ、いいよ。それで。以外と熱いんだぜ?あんな炎纏っていると。だから待ち伏せは賛成だ。」


マジで熱かった。炎系能力者が熱さを感じないなんて誰が決めた?結局どんな力も万能ではないということだ。


「OK。作戦は明日から実行。どのようにプレイヤーを消すかは俺が考えておくから今日は寝ろ。いいな?」


「は~い」


「あーい」


まあ、俺はここなんだがな。友結は玄関の扉を開け、


「じゃあおやすみ~。遅くまで起きてないようにね~。」


んだよ。ガキじゃねぇんだ。そんなこと言われてもな……。


「そうだ。一応この辺に川があると地図にはあった。身体を清めておくといい」


「分かった。じゃあね」


友結は家を出る。


「んじゃ、慎士。俺はもう寝るわ。お前も早く寝ろよ?」


身体を洗いに行くにも今は友結がいるだろうし、もう眠たいからな、


「分かっている。おやすみ」


「おやすみ」


俺が眠りに落ちるのにそう時間はかからなかった。ちなみに最高記録は古典の授業の開始4秒後。


友結……今回もあまり活躍なかったな……。少し本性が出たくらいだ。まあ、頑張れや。…以上!






























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る