みえないきもち

紫月 玖優

プロローグ “いじめ”と“いじり”

 最近では、“いじめ”に対する人々の考えや、対策、対処は以前に比べて厳戒態勢となり、校内でも定期的に『いじめアンケート』なるものが行われ、仮にいじめられていてもすぐに伝えることができ、対処することができるようになってきている。



 しかし、“いじり”はどうだろうか。一般的に“いじり”というものは、“いじめ”と違い、暴力や暴言などは行われず、その対象を


 『一種の愛情表現』


という形で軽くバカにしたり、面白おかしくすることをいう。その段階ではまだ、

“いじめ”とはしっかり区別がついているのだが、エスカレートしていき、だんだん“いじり”が酷くなるとそれはもう“いじめの下位互換”となってしまう。



 しかし、いじる側は「冗談で言ってるだけ」であり、いじりはいじめと違って暴力や暴言は無いため、いじられる側がストレスを抱えていても、“いじめ”と違い気づかれにくい。



 そして、中学に通う2年生の黒瀬 葵もこの

“いじり”のストレスに悩まされていた。

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