第8話 幼馴染が犯されちゃう

「え? その子めっちゃ可愛いじゃん。 おいおい3Pってか? 俺らも混ぜたら……えっと……9Pじゃねーかよ!?」

「いや、あんちゃんそれマヨネーズのあれじゃねぇっすか?」


 は? 何コイツら、おもしろ。ってか、今の状況めっちゃやべーじゃん。おい、おっさん俺達どうすれば良いんだよ。しかも心桜めっちゃ涙目じゃん。


「お前らどけよオラァ!」

「……いや」


 目の前のリーダー格の男が俺とおっさんを掻き分けて心桜に手を出そうとした時。


「待ちたまえ」


 目の前の男の険しい顔つき。思わず圧倒されそうになっていたがおっさんだけは違った。心桜に手を出そうとした男の手首を掴んでいる。



「あん? なんだてめぇ。何勝手に俺の手触ってんだ──へぇっ!? ぐぁああ!」


 一瞬の出来事だった。男はおっさんに掴まれていた手を振り解き、拳を握りしめおっさんの顔面に殴りかかった。


 だがその拳は効果をなさなかった。なぜならおっさんが首を曲げて交わしたからだ。そしておっさんは足を踏み込み、そのその男の懐に掌を打ち込んだ。


 おっさん。つぇえええ!!


「これでも元空手日本一位。尚、重労働で培ったこの肉体。とくと味わうが良い」


「すぅ……」


 息を整えるおっさんに次々と襲い掛かろうとする男達の群れ。おっさんは男達の殴りや蹴りを華麗に払い、受け流して、カウンターで強烈な一撃を溝に打ち込んでいた。


 まるで、蝶が舞うかのように交わし、蜂が刺すかのようだ。


「おいそこのガキ。実況はいいからその女を連れて逃げろ」

「……それじゃおっさんが」

「これは全て大人の私の責任だ。全て私が背負う。だから──う゛っ!!」


 全ての言葉を聞く前に、おっさんは倒れた。背後で倒れていたはずのリーダー格の男が、太い木の枝でおっさんの頭を殴った。


「おっさん!!」

「ったくよ。あーマジで痛ぇ痛ぇ。どうしてくれんだよテメェ!」


 男は倒れているおっさんの上から頭を踏みつけグリグリしている。


「あん? なんだこいつ、気失ってんのか? これはやべーな。ついカッとなっちまった」

「……あんちゃん……どーするよ」

「大丈夫だ。この手のおっさんは死なねーよ」


 男はさもおっさんの耐久率を知っているかのような言い方だ。今まで何人ものおっさんをボコしてきたのだろうか。


「え? あー、数えきれらんねーわ」


 あ。


「さてと。邪魔は消えたしコイツを犯すとするか」


 男は俺なんて気にも止めず、心桜の目の前に佇みながら彼女を見下ろす。


「いや……」

「うっわ。その目そそるわぁ……」


 最大の戦力であるおっさんは倒れてる。そして彼女を救ってあげれるのは俺だけ。俺に何ができるってんだよ。


「……待って……下さい」

「あ?」


 俺は深々と土下座をする。


「どうか……やめてあげてください……」

「は? お前がらがコイツ犯してたんじゃねーのかの?」

「いいえ。俺は彼女の幼馴染なんです」

「じゃあなんだ? このロープは」

「それは……いろいろあって」

「は? どっちにしろそーゆープレイをしてたんだろ? それにこいつ可愛いし、見逃すわけねーだろ?」

「いひゃ……」


 頬を男の片手で挟まれた心桜は、今にも泣き出しそうだった。


「クッソ可愛いな。なぁお前も一緒に混ざろうぜ。お前には悪いことはしねーよ」

「……」


 ふざけんな。どうして俺はこの男の言葉に安心しているんだ。ありえねーだろ。


「……なんでもします。お金でも渡します。だから……彼女だけは」


 分かっている。とても惨めな発言をしているのは。しかしおっさんを見て分かった。コイツらには絶対に敵わないと。そもそも数が違うんだ。


「じゃあ10万持ってこい。てめーらくらいのガキならそれくらい用意できるだろ」

「……え」

「10万持って来いっつってんだよ!! 耳糞詰まりすぎかよ! あんっ!?」

「はい!!」


 心臓が止まるかと思った。急にブチギレないで欲しい。


「あとよ、警察に言ったらどうなるか分かるよな?」

「……はい」

「まぁ、一人監視を送るがな。おい、山崎。お前ついて行け」

「わかりやっしたー」


 男達の中から、ダントツでヤンチャそうな男が俺の横に着いた。


「30分だ。俺は優しいからな、それ以内に持って来れなかったら本気でコイツを犯すからな」

「山ちゃん……」


 心桜が向けてくるその視線の意図が汲み取らなかった。まさか心桜だから、私の事はいいからとか言うんじゃないだろうな。何にせよ俺は必ず助けに戻る。

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