第6話 美少女子高生誘拐容疑
『只今、スカート姿の山ちゃんを盗撮中です』
木陰から、女子の制服姿でコンビニに入っていく俺の姿が映し出されていた。そこに心は実況を加えているようだ。
っていうか俺あんな風に見られてるのか。くっそ屈辱だな。俺が言えたことじゃないけど。
『これは山ちゃんに相応しい罰です。同情なんて絶対にするもんですか』
言ってくれるな心桜。帰ったらどーしてやろーかな。
『山ちゃんがレジに並びました。そわそわしてる。可愛い』
もう実況じゃなくて感想だった。
『そろそろ山ちゃんの会計が終わ──んっ!!』
え? 何が起こった? コンビニを映していた動画は一瞬で切り替わり、次に映ったのは夜空だった。
そして俺は一瞬で最悪のケースを察した。
「誘拐!?」
スマホを忘れたなんて憶測はどこも正しくなかった。スマホなんて流石の心桜でも落とさないだろう。
俺は心桜のスマホをポケットに仕舞い、辺りを見回す。辺りは無数の木だらけ。この中から心桜を見つけるのは松茸山の中から松茸を見つけるのと一緒だ。
だからなんだ。そんなの諦める理由になるわけがない。絶対に俺が見つけ出してやる。命に変えても。
──
辺りに響き渡るサイレン音。凄くうるさい。やはり警察は優秀だ。こんなにも早く来るとは思わなかった。
俺は警察の人達に事情を説明する。
「それでですね。俺に考えがありまして……」
それから俺は考えをなるべく短く警察の方々に説明した。
暗い林の中を抜けてゆく。もはや視力の供給源は月光のみとなっており、それでようやく歩けることができている。
そして奴らを再び見つける。
「持ってきました」
「本当に10万入ってるんだろうな」
「はい。俺、虚言とゲロは吐きますが、嘘は吐かないんです」
「いや、山ちゃん。虚言と嘘ってとなじいみでしょ」
心桜はロープで四肢を縛り付けられているのにも関わらず、ちゃんと突っ込んできた。
──事は30分前。
「心桜っ! 心桜っ! どこだぁ!!! こころぉおおおお!!!!」
俺はかつてないほど声を上げていた。きっともの凄い焦っていたのだろう。窮地な時ほど冷静とあるが、当事者にそれは無理だと思った。少なくとも俺は無理だ。
結局は運が物を言い。俺は松茸山から松茸を見つけて見せた。
「心桜っ!」
「……ん? んんっ!! んん!!」
坂の奥、少し遠くでよく見えないが沢山の木々の間で、心桜は横にいるおっさんに口を両手で押さえられている。
「これ以上近づくなガキ。俺は包丁を待っている。馬鹿なことしたらこいつが死ぬぞ」
その発言に、思わず俺は足を止めた。
「そうだ、それでいい」
そう言うとおっさんは心桜の服を脱がし始めた。
「んんんっ!! んーーー!!」
心桜は四肢をロープで縛られているため自由が効かず。あわらにも悲惨な姿だった。
「何をする気だ……ですか!?」
「礼儀正しいな。見て分からぬか? こいつを犯すんだよ」
「どうして……」
「男の性欲に理由はない」
まずい。俺はどうすれば。どんどん心桜が悶えながら脱がされてゆく。だめだ。ダメダメダメダメ。
だって心桜は……処女なんだ。初めては心桜が望んだ人にあげたいはず。
「……ほぅ……こいつ処女なのか。良いことを聞いた」
「んっ!!!!」
あ……って、心桜の怒りの矛先がなぜか俺に向けているように見えるのだが。あれ睨んでるよな俺のこと。
「尚更いい。私は美少女の初めてを貰えるのか」
いやだ……こんなおっさんにとらせるわけにはいかない。
「やめろ!! おっさん。あんた取り返しがつかない事してるの分かってんのか!?」
「ああ。重々承知だよ。ただ私は取り返す必要がない」
おっさんの言うことの理解に少し苦しんだが、意味を察した。
「おっさん。まさか」
「ああ。こんの木々が茂っている場所でロープを持っているおっさんのやる事なんて一つしかないだろ」
なんだよそれ。
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