ベテルギウスの手記【終】

エピローグ 蘇る帝国の記憶

 その後長い時を経て、パルテミラでは男女の融和が進み、女系の王朝は緩やかに消えていった。王朝が移り変わったあとも、テシオンは蒙句麗帝国に攻め落とされるその時まで、世界一輝かしい都市の一つであり続けた。


 かつての栄華を偲ばせるものは、今はもうほとんど残っていない。

 テシオンの都が蹂躙されたことは、世界にとって実に悔やまれることであった。

 ところが、テシオンの陥落から五百年ほどになるこの年、思いがけないことが起きようとしている。

 なんと、古代語魔法によってテシオンを復元する計画が、年内に始まるというのだ。

 計画は、我らがプロセイン王国を含む中欧諸国が共同で進めることが決まっているが、その中心になっているのは神聖大ローマ帝国。かの大ローマ帝国の権威を継承する国である。

 かつての敵国が、パルテミラの失われた遺産を蘇らせることになるのか――注目が集まっている。


  ――完――

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