epilogue
向かい側に座った女。化粧は、してない。
そして、目が、赤い。
さて。何から話したものか。化粧と目を見るに、どうせ泣いてたんだろう。
「あの、さっきは、ぶつかって、ごめんなさい」
「ああ」
俺が謝るべきではない。あのぶつかりかたには、目的と悪意がある。
「あわよくば俺とよりを戻そうって思って、ぶつかったんだろ」
彼女。無言。
これは、言いたくなかった。でも、こうやって対面した以上は、向き合わないといけない。
「ごめんなさい」
「謝らなくていい。顔が良いってだけの、俺が悪いんだ。君は何も悪くない。ただ」
どう言えばいいのか。
言葉を、慎重に、選んだ。
「ただ、そうやって、数日前に振ったのに、すぐ化粧とかして懐に飛び込んでいけば簡単に復縁できるなんて思われるのは、正直、とても、いやだ。腹が立つ」
「ご、ごめ」
「謝るな」
遮った。仕方ない。修復不可能な関係だから。
「腹が立ってるのは、自分にだ。これが、こうなると、こうなるって最初からわかっていれば」
そう。すべて、自分が悪い。
「最初から、告白されたときから、俺が悪いんだ。断ればよかったのに、中途半端な気持ちで告白を受けるから、こうなる。だからおれのせいだ。すまん。もう、忘れてくれ」
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