第14話 一星くんと美音子さん
美音子さんとは、結局別れてしまった。なんと、旦那さんが単身赴任から帰ってくることになったという。結婚していたことさえ、気づかなかった僕も僕だが、まったく気づかせなかった美音子さんは、やっぱり女だなぁと感心する。今は旦那さんと暮らしているであろう美音子さんのアパートで、僕たちは何度も
あきらには、彼氏ができた。前に言った通り「映画鑑賞サークル」という、週末に映画を見に行き、そのあとみんなで飲みに行くという、楽でチャラチャラしたサークルに入った。そこで適当な男を見つけたようだ。
キャンパスで手を
美華さんとは、あれからあまり口を聞いていない。美華さんが意識して避けているように思える。でも、あきらの策略が失敗に終わったわけではない。僕に視界に美華さんが入るようになったからだ。
なるほど、美華さんは美しい。絶世の美女と言ってもいいくらいだ。でもその
僕が美華さんを意識し始めたのは、チグハグな言動に気づいたからだ。あの時あきらに食事に誘われなかったら、僕は気づかなかったと思う。美華さんを見ていると、外国のポストカードなんかで見た、母親の大きなハイヒールを履いた小さな少女を思いだす。合わない靴で、転ばないように歩いている。時々、ガクッと転びそうで冷や冷やする。
彼女をベッドに連れて行ったらどうなるかな、と僕は想像する。
うーん。ぶっ殺されそうだ。
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