過去編32 聖オルレリウス歴354X年五ノ月
謁見の間に入ってきたミラに皆んな驚いて注目するが、この時、誰も入ってきた少女がミラだという事に気づかなかった。
そんな中、ジェイクは感嘆の声を上げてミラに近づきジロジロと見る。
「痩せすぎだが、中々良い女じゃないか。お前なんて名だ?」
「ふふふっ、知りたいかしらお馬鹿さん?」
ミラは馬鹿にする様な目をしながらそう言うと、ジェイクは怒り顔になりミラに襲いかかる。
「お前、痛い目を見たいらしいな!」
そしてミラに手を伸ばしもう少しで掴もうとした瞬間、手前で見えない何かに当たって手を弾かれてしまう。
「痛っ、貴様何をした⁉︎」
「あら、わからないのかしらお馬鹿さん。ちょっと考えればわかると思うのだけれど。ああ、いつも女とやる事しか考えてないから他の事が入ってこないのね。こんなのがこの国の未来の王なんて最悪ねえ」
ミラは呆れた表情でそう言うと、レジアスの方まで歩いていき手を払う仕草をしながら言った。
「そこに座りたいからどいて」
「ふ、ふざけるな!貴様何者だ⁉︎」
「あらあ、親子揃って馬鹿なのね。はあっ、邪魔よ」
ミラはそう言って手をかざすとレジアスは突然、吹っ飛んで床に叩きつけられた。
そんなレジアスをミラは一瞥すると玉座に歩いていき座るとすぐに舌打ちした。
「うわ、柔らかっ、あまり座り心地は良くないわね。私硬めの方が良いのよねえ」
ミラはそう言いながら玉座にふんぞり返っていると、我に返ったアーノルドが剣を抜いて斬りかかった。
しかし、ミラに当たる瞬間弾かれてしまう。
「な、なんだ……。どうなってる?」
「ええ……。まだわからないの?もしかしてあんた達って馬鹿の集まり?」
「黙れ!」
アーノルドは再び剣を振るうがまだ弾かれる。
すると、それを見ていたジェイクや騎士達も一緒になってミラに攻撃し始めたが、全くミラに当たる事はなかった。
「くっ、何故当たらない?風の魔法で盾を作ってるのか?」
「ぶー、ハズレえ」
ミラはニヤニヤしながら指でばつ印を作る。
すると吹き飛ばされて倒れていたレジアスが顔だけ起こしながらミラを見て呟いた。
「結界?まさか貴様は聖女ミラか?」
「あ、正解者がやっと出たわあ」
ミラは馬鹿にするような表情を浮かべながら雑な拍手をする。
そんなミラを見てレジアスは怒りの表情を浮かべながら叫んだ。
「貴様、王都に張った結界はどうした⁉︎」
「解いたわよ」
「はっ?解いただと?」
「だってそこの馬鹿二人が、魔物が攻めて来ないのは我がフラジアス王国騎士団に恐れをなしてるからって言うから、本当かどうか確認したのよお」
ミラはそう言ってジェイクとアーノルドを順番に指差すと、レジアスは身体を震わせて二人を睨む。
「貴様ら二人の所為で王都に魔物が入ったのか!」
レジアスに怒鳴られたアーノルドは段々と顔色が悪くなるが、ジェイクは悪びれる様子もなく鼻を鳴らすとミラを睨む。
「おい、お前が結界を解いたのが悪いんだろ!早く結界を張りなおせ!そうすれば少しは婚約者として扱ってやる」
「……何を言ってるのかわかんないんだけどお?」
「ふざけるな。この俺が平民であるお前を貴族の様に扱ってやると言っているんだ。さっさとしろ」
「うわあ、人に頼む態度じゃないわねえ、全くいつになっても馬鹿は馬鹿なのね」
ミラは呆れた顔でジェイクや周りにいる連中を見つめる。
そしてニヤッと笑いながら喋りだした。
「まあ、良いわ。これもある意味良いスパイスになるかもねえ」
ミラはそう呟くと何処からともなくワインが入ったグラスと肉が乗った皿を出し食べ始める。
するとジェイクは怒り顔になり、剣でひたすらミラを攻撃し始めた。
だが、全て結界によって弾かれてしまい、しまいには剣が折れてしまったのだった。
「ああ、剣が折れちゃったわねえ。これから必要になるのにねえ」
「何をわけのわからない事を言っている!さっさと結界を解いて剣の錆になれ!」
「馬鹿ねえ、私に構ってて良いのお?」
ミラはそう言って謁見の間の扉を指差すと、謁見の間の扉が勢いよく開き、ハイ・オークの集団が入ってきたのだ。
その瞬間、ジェイク達王族は悲鳴を上げてハイ・オークがいる位置とは反対に走り出すが、すぐに見えない壁にぶつかり倒れてしまった。
そんな倒れた連中をミラは楽しそうな表情で見る。
「駄目よお、逃げちゃあ。せっかくのパーティーなんだから皆んな出席しなきゃ」
ミラはそう言って、ハイ・オーク達を見ると何故かハイ・オーク達は身震いして後退りする。
しかし、すぐに斧を構えると何故かミラ以外に向かっていった。
そこからの謁見の間は阿鼻叫喚であった。
しかも、斬られたらすぐにミラに回復され、また斬られるを繰り返すという状態で、中には心が壊れてしまう者もいた。
そんな中、ジェイクは今だに心が折れてないらしく、ミラのところまで這っていくと手を伸ばし懇願し始める。
「助けてくれ!」
「えーー、どうして助けないといけないのお?」
「私達は婚約者だろう!将来、夫となる者を支えるのがお前の仕事だろうが!」
「うわあ、駄目だわこいつ……。ねえ、心が折れるまで痛めつけてよ」
ミラは近くで心が折れ、放心状態になったアーノルドの首をネジ切ったハイ・オークに声を掛けると、ハイ・オークは頷きミラの前で徹底的にジェイクの身体を痛めつけた。
もちろん死にそうになるとミラはしっかりと回復する為、ジェイクは死にたくても死ねない状況である。
そして繰り返す事、何度目かでジェイクは心が折れた。
「……めんないごめんなさいごめんなさい」
「ああ、もうちょっと楽しめるかと思ったのになあ。他は?」
ミラは周りを見て溜め息を吐くと持っていたグラスと皿を放り投げ背伸びをする。
「うーーん。さてさて、ミラちゃん仇は取ったわよお。えっ、そんな事望んでない?嘘吐かないでよお。うわあそこまで酷い事言わなくても良いでしょお。私が誰って?そうねえ、もう名前も記憶もほとんど無くなってるのよ。なんせ、私は欠片だからね。ただね、やるべき事はわかってるの。そうよお。えっ、やっぱり騙したって?もう、うるさいなあ。騙したで良いわわよ。あっ、騙すっていえばミラって花に良く似た花があるんだけど知ってる?それって、とっても強い毒を持ってるのよねえ。ふふふ、決めたわあ。私はカーミラよ」
カーミラは笑みを浮かべながら玉座を立つと、ゆっくりと謁見の間を出る為に歩き出す。
すると、後ろにいたハイ・オーク達は謁見の間にいたジェイク達に止めを刺していく。
しかし、心が折れたり壊れてしまった者達は悲鳴を上げる事はなかった。
だからこそ、もう興味がなくなったカーミラにはジェイク達が殺された事には気づく事がなかったのだ。
◇◇◇◇
カーミラは城の上に立ち、燃え盛る城下町を眺めながら考え事をしていた。
さてさて、まずは今この世界がどうなってるかよね。
そう思っていると城下町を歩いている角が生えた紫の髪と肌をした男に目がいく。
あいつって確か魔族よね……。
その瞬間、カーミラは不敵な笑みを浮かべる。
良い事考えちゃった。
あいつら利用してアステリアまで案内させよう。
ふふふ、待っててね。
今度こそ全てを終わらせてあげるからね。
カーミラはそう心の中で言った後、悲しげな表情をするのだった。
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※ただいま、超下手な文章を少しだけ直してる最中です。
ちなみにいつ反映されるかは未定です。
特に話しが変わる事はないですが以下のよう
・話しの辻褄合わせ(文章が増えたり減ったりします)
以上です
すみませんがよろしくお願いします!
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よろしくお願いします
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