膿み出し作業
「エデュー、お前達は魔女カーミラと関わっているのか?もしくは知ってるか?」
「……いや、関わっていないし知らない」
「じゃあ、お前が崇めてるのは誰だ?」
「……魔王バーランド様だ」
「魔王ラビリンスとは関わりはないのか?」
「……私はない」
「他の仲間はどうだ?」
「……知らない」
「お前達のアジトを知ってる範囲で教えろ」
「……今は近くにある古城を使ってる」
「なるほど、俺からの質問は終わりだ」
俺がそう言うとグラドラスが再び質問をした。
「僕から最後の質問だよ。君は何故闇人になったんだい?」
「……殺したい奴がいたが力が足りなかった。だから魔王バーランド様に頼った……あれ?私は何をやってるんだ?あんなに殺したかったあいつの事を何で忘れてた?あいつは何処だ⁉︎いや、命令の方が大事……だが、私が忠誠を誓ったのは魔王バーランド様……あれ?あれ?」
エデューは遂には独り言をぶつぶつ呟き始めてしまい、そんなエデューの状態を見た俺はメリダにお手上げのポーズをする。
「エデューの精神のバランスが崩れたかもしれない。しばらくは無理だろう」
「そう、わかったわ」
メリダはそう言うと今度は隣りのビジーにも自白剤を飲ませる。
そして尋問を始めたが、目新しい情報を得ることができなかった。
そこで俺達は穢れた血縁者の幹部であろうダークエルフ達がいる古城に向かうことにした。
だが、そこは既にもぬけの空になっていた。
「……なんとなくわかってたけどね」
メリダは空になった古城を見て悔しそうに呟いた。
「エデュー達が戻らないから怪しいと思って逃げたんだろうな」
「厄介な相手ね……」
「だが、目的がわかっただろ」
「ええ、だから奴らは止めに行かないとね。まあ、その前に南側にいる膿出し作業からしなきゃね」
「確かにそっちを先にしないと邪魔をされるだろうからな」
「ふふ、正直、誰かさんの所為でイライラしてたから発散相手としてちょうど良いわね」
メリダは口角を上げ、ニヤついた笑いをする。
俺はそれを見て膿出しされる連中を哀れに思うのだった。
あれから南側は一時期、大混乱になりかけた。
なんせ、冒険者から商人に貴族などが次々に捕まったからだ。
現在は落ち着きを取り戻し、俺とサリエラは普段と変わらない冒険者ギルドで依頼が貼られているボートを眺めていた。
「キリクさん、そろそろ外にいるサンドリザード狩りじゃなくてダンジョンに入ってみるのも良さそうですね」
「そうなると潜る前に装備品をもう少し揃えないとな」
「確か、ここの迷宮都市ラビュントスのダンジョンは、ネイダール大陸で一番罠が張り巡らされているダンジョンでしたね」
「そうだ。だから手持ちの罠解除の道具はいくつあっても良いだろう」
「じゃあ、早速行きましょう!」
サリエラはそう言って俺の腕を掴んで身体をくっ付けてくる。
おかげで、道中、沢山の人達に睨まれたり舌打ちをされたが、なんとか道具屋に到着する事ができた。
「うわー、色々とありますね」
サリエラは天井いっぱいまで色々な道具が飾られている店内を見て感嘆の声をあげる。
「ここは品揃えが一番多い道具屋らしいからな。まあ、問題は品質なんだが……」
俺は飾られている鍵開けの道具を取って見てみる。
どうやら、作りはしっかりとしているようだった。
「悪くないな。サリエラ、ここで道具を揃えて行こう」
「はい!」
それから俺達は罠解除の道具にダンジョンで使えそうな物を次々と購入していく。
その際にダンジョンの宝箱から出てきた魔導具が売ってるスペースを見つけたので見てみることにした。
「キリクさん、このお湯が沸かせる筒は良さそうですね」
サリエラに言われ俺はサリエラが持っているものと同じ筒を取ると底を見る。
底には炎属性が付与された宝石が埋め込まれており、周りに魔法文字が刻まれているのだが、ここに魔力を当てると中に入れた水やスープを温めることができるのだ。
「比較的出やすい魔導具の一つだが、サリエラはそういえば持ってなかったな。一つは買って持っておくと良いぞ」
「はい、じゃあ買っちゃいます」
サリエラはそう笑顔で言うとカウンターに魔導具を持っていく。
俺はその間に別の魔導具を見ようとしたのだが、隣りに誰かいるのに気づきそっちを向いたのだが隣りにいた人物を見て固まってしまう。
何故なら、そこには可愛らしい格好をしたブリジットが立っていたからだった。
ブリジット……。
俺の頭の中の戦士の格好をしたブリジット像が壊れていく。
そんな固まってる俺をブリジットは不快そうな目で見てきた。
「キリク、あんた今あたいの事、筋肉女が何着てるんだって思ったろ?」
「いや、いつもの格好と違い過ぎて驚いたんだ……」
なんせ俺が勇者時代の時もこんな姿は見たことないからだ。
「だが、良く似合ってるぞ。元々、美人なんだから普段からそういう格好をしてれば良いだろ」
「普段?あんたとはあまり会ってないはずなんだけどね?」
「あっ……」
そういえはブリジットは俺だとバレる前にオルトスと南側に行ったんだよな……。
「ま、まあ、ブリジットの仲間から話しを聞いてたんだよ」
「なるほどね。でも、美人なんて言ってくれてありがとよ。全くキリクとあの人ぐらいだよ、笑わなかったのはさ……」
ブリジットはそう言うと顔を赤らめながら、少し離れた場所にいる髭もじゃドワーフを見る。
するとそいつは俺に気づきニヤニヤしながらこっちに歩いてきた。
「相変わらず辛気臭え顔してんじゃねえかっ、キリク」
その髭もじゃドワーフのオルトスは開口一番、俺をイラつかせるのだった。
◆ 次の話が気になるという方は
是非、フォローと広告の下の方にある【★】星マークで評価をお願いします
よろしくお願いします
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます