第21話 ロケット花火

「「花火しよー!」」


花音と雫さんが言い出した。


「いいじゃん!」


「そんじゃ、砂浜いくか!」


花火を待たされる。


「多くね?」 「んな」


手持ち花火がいっぱい。ロケット花火も大量。噴出型の花火も、打ち上げ!?


「本当にすごいな」


とりあえず、手持ち花火から始めることに。


「おーきれーい」


さやらしい感想だ。


「いえーい」


花音は花火を振り回してる。危ねえ。


しばらく、するとあんなにあった手持ち花火がなくなった。


「それじゃあ、、ロケット花火まとめてぶっ放すぞー」


雫さん!?


こっちに向けてくる。


「「「は?」」」


とりあえず、死ぬ気で避ける。


「きゃああ」


「あぶな!?」


あれ、さや意外とすんなり躱してんな。最小限の動きで。


「すご」


「はあ、楽しかった。人にロケット花火打つのは楽しいねー」


残り少ない花火の中から、ロケット花火を取ってみんなに配る。


「「「雫さん。覚悟」」」


「あれ?それはやめて欲しいかなーなんて」


雫さんに向かってロケット花火が襲い掛かる。


「まあ、避けれるんだけどねー」


大量のロケット花火をさも簡単そうに避ける。


吸血鬼ってすげー。


「あははーざんねーん。当たりませんでしたー」


なんかイラつく。


「ねね。吹き出しと打ち上げやろーよー」


設置して、火をつける。


ズド、ドン!


いくつもの打ち上げ花火が打ち上がる

吹き出し花火も上がる


「でか!?」


吹き出し花火は3メートルくらい上がっている。


「おーすごー」


なかなか、すごい迫力。


「あっという間に終わったな」


「花火は儚からいいっていうしな」


なんか優がロマンチスト。


「そーだねー」


「ん。儚い」


「それじゃ、帰ろっか」


「お風呂入りたーい。汗ベタベター」


「ん。オフロー」


さてと、戻るか…


お風呂は女子→俺→優→雫さんの順番に入ることになった。


お風呂から上がると、さやがトテトテと小走りに寄ってきた。


「やって」


「もー花音がやろうとしたらだめだったのにー」


「やってもらったらよかったのに」


花音の断ったんかい。


「周がいい」


お、おう。


「おうおう熱いねー」


「うっせ」


そう言いつつも髪は好きなので乾かす。


「そう言いつつも周も乗り気だよね」


あはは実際否定はできない。


「周私の髪好き」


「あははー」


言われた。


「そうなの?」


「まーはい」


「へえー周って髪フェチだったんだー」


めっちゃニヤニヤしてる。うざい。


「へぇ。俺もそれは知らなかったな」


ちょうどお風呂から上がったであろう優が髪を拭きながら脱衣所から出てきた。


「言ってねーからな」


そうこう言ってるうちにさやの髪をかわし終わる。


「終わったよ」


「ん。ありがと」


「本当綺麗だよね。触っていい?」


「ん。いいよ」


花音がさやの髪を触ってる。


「お、俺もいいかな」


珍しく、優がさやに興味を示した。


「ん。いいよ」


「ありが…あーやっぱやめとく」


優と目が合った。


「周も独占欲強いのねー」


花音がいつものようにニヤニヤしながら見てくる。


さやを膝の上に乗せてさやの髪に手を通してさわる。


「本当さやちゃんは周に懐いてるね」


「本当、親子か兄弟みたいだよな」


「ふーお風呂あーがりー周くん赤出しといてくれない?」


まだ湿った髪を拭きあげながら露出のおおい部屋着で出てきた。


艶めかしいとはこのことか。


「あ、了解です。品種は?」


「お任せ〜」


いつからか、雫さんのお酒係になってる。


さやを膝から下ろして、お酒を出しに行く


「みんなで、映画なんか見ない?」


髪を乾かし終わった雫さんが出てくる。


「花音ホラーみたい!」


「やめとけ。お前、寝れなくなるだろ」


苦手なんかい。


雫さんにグラスを手渡し。リビングのテーブルにボトルを置いておく。


「ありがと!じゃあ、ホラー見よっかー」


ボタン一つで、スクリーンが降りてくる。


「この家本当すごい」


結局。有名な洋画のホラー映画を見ることになった。ピエロのやつ

見たことあるんだよなー。


「さやは、ホラーいける?」


「無理無理無理」


めっちゃダメそう。


「あはは、前一緒に住んでた時一緒に見たときは夜大変だったもんね」


雫さんは面白そうに笑っているが、さやの顔は青い。


「さあさあ、始まるよー」


「花音大丈夫なのか?」


「う、うん。優、手離さないでね??」


いつも強気な花音が弱気だと正直かわいい。


優もまんざらではなさそう。


電気を消すともう小さな映画館。


映画が始まるとさやの手を握ってくる力が強くなった。


こっちもまんざらではない。


映画が終わるまで花音とさやの悲鳴そして、雫さんの笑い声がリビングに響いた。


「うー怖かったー」


花音は、涙目で優に抱きついてる。


さやは無言で俺のももに顔を埋めている。


なんかくすぐったい。


「おっと。もう日付変わっちゃったね」


昨日は勢いでさやと2人で寝たが、本来は男女で分かれて寝る予定だった。


「さて、それじゃ寝ようか。さや離して?」


「花音も離してくんね?」


「「無理」」


想像以上に重症かもしれない。困った


「一緒に寝てあげればいいじゃん」


雫さんが赤ワインを片手に言う。


さやの保護者としてそれでいいのか。


「周、どーする?」


「うーん。どーしよ」


「ま、俺は全然いいんだけどねー」


「口のニヤニヤ止まってねーぞ」


「へへ。じゃねー」


と、いうことで2日連続一緒に寝ることに。


まあ、昨日は記憶曖昧なんだけど


ベットを二つくっつけて寝る。


手だけは握ってたいっていうさやの要望で電気は完全には消さず。常夜灯だけつけて寝る。


「なんかあったら起こして」


「ん。おやすみ」


「おやすみ」


何回目になろうと緊張は抜けない。

そんでさっきからさやの距離が近づいてきてるんだけどなにこれ。


すでに、さやとの距離は30センチ弱。

いつの間にか、前と同じ俺の懐で丸くなるポジションに入った。


デジャブだなー。


俺も寝よ。

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