【無料】絶対にダイエットが100%成功する方法を教えます!
憚岩三
前編
女「はぁ?」
女は訝しむように男を見た。
男は笑みを浮かべている。
男「いや、そういうタイトルの動画を作ったら、再生数が増えるかなって思ってさ」
女はため息をついた。
女「まぁ確かに、釣られて見ちゃう人はいるかもね」
男「だろ?」
女「でも、そんな方法あるの?っていうか、ダイエットが成功するかどうかなんて、本人のやる気次第だと思うんだけど」
男「その通り、正解」
女「やっぱり、どうせそんなことだろうと思った」
女は呆れたように言った。
女「そうやってさ、期待して動画を再生してみたら『本人のやる気次第です!』なんて言われたら、低評価ボタンを押しちゃうわ」
男「うーん、本人のやる気が重要なのは間違いないけど、大切なのはその『やる気』を継続することなんだよね」
女「そりゃそうでしょ、成功するまで『やる気』が続けば、誰だってダイエットできるもの」
男「そう、つまり、ダイエットに失敗してしまう人は、『やる気』が継続できなかったから、上手くいかなかった、っていうことになる」
女「えぇ、確かにそうね」
男「だからさ、動画のタイトルは『絶対にダイエットが100%成功する方法を教えます!』なんだけど、中身は『やる気』を継続する方法について教える内容にすれば、低評価を押されることもないかなって思うんだ」
女「『やる気』を継続させる方法ねぇ…やっぱり、本人の気持ち次第だと思うんだけど」
男「その気持ちを成功するまで持続させる方法、というか考え方かな」
女「ふぅん、考え方を変えることでダイエットが成功するなら、悪い話じゃないわね」
男「嘘を伝えるつもりはないし、騙す気なんてないよ」
女「それならいいんじゃないかしら。ところで、どういう話なのか教えてよ」
男「いいけど、ちなみにキミはダイエットに失敗したことは?」
女「…絶賛失敗中よ、本当はもう少し痩せたいと思ってるわ」
男「見た感じ、ダイエットが必要とは思わないけど?」
女「うるさいわね、色々あるのよ、お気に入りの服を着るのが大変だったり」
男「だったら、ニンニクと脂と野菜マシマシ系のラーメンを食べるのは控えた方がいいかもね」
女「余計なお世話よ、好きなものを食べられないなら太った方がマシマシよ」
男「面白いことを言うね」
女「何の話をしてるのよ、私は正直にダイエットに失敗していると教えたわよ」
男「ありがとう。よかったら、どういうダイエット方法を試したのかも教えて欲しいな」
女「別に…普通よ、食べる量を減らしたり、運動してみたり」
男「でも、痩せる以上に食べるから太っちゃうわけだ」
女「失礼ね、これでも現状維持しているんだから、変なこと言わないで」
男「そうだったね、ごめんごめん」
女「でも、考え方を変えるくらいで痩せられるなら、教えて欲しいものね。もしそれが本当なら、知りたい人はたくさんいるはずよ」
男「うん、だからこそ動画にして紹介しようと思ってね」
女「ところで、アナタはその考え方でダイエットに成功したの?」
男「もちろん、じゃなきゃ人に教えたりできないよ」
女「そう…実際に体験して成功してるなら、本物っぽいわね」
男「正直、あまり過度に期待して欲しくないんだけどね」
女「どうして?確実に痩せることができる方法があるなら、誰もが知りたくなるわよ?」
男「まぁそうなんけどさ、本質は『本人のやる気次第』っていう話だし、いざ聞いたら『そりゃそうだ』『当たり前だ』って言われるようなことだから」
女「あら、そうなの?」
男「うん、ただ、ダイエットを上手くできていない人たちは、たぶん、そのことに気づいていないんだ」
女「私もその1人ってことでしょ?余計に気になるわ、早く教えてよ」
男「もちろん。ただ、考え方を知るだけではなく、その考え方をきちんと理解することが重要なんだ。『頭』じゃなくて『心』で理解する、ってやつだね。だから、一つずつ話をさせて欲しい」
女「もう…焦らすのね、嫌いじゃないけど」
男「ちょっと何を言ってるかわからないな」
女「いけずな人ね、早く続きを話してちょうだいな」
男「あぁ。で、だ。キミはダイエットをしようと思ったときに、どういうことに気を付けている?」
女「そうね…やっぱり、食べて運動しないから太るわけだから、食事のカロリーだったり、どれくらい運動したら何カロリー消費するか、みたいなエネルギーの計算?は気にしてるわ」
男「素晴らしい、そうやって今のスタイルを維持しているわけだ」
女「本当に意地悪ね、スタイルなんて立派なことは言えない体形よ。ただ、そうやって今の体重を維持しているのは間違いないわね」
男「つまり、キミはダイエットをするときに、【食事のカロリー】や【運動のエネルギー】、そして【体重】といった【数値】を意識して臨んでいることになるね」
女「それはもちろんそうよ、【体重】を意識しないでダイエットが成功するはずなんてないでしょ?」
男「それはどうかな」
女「どんなダイエットだってそうよ、結局のところは体重が軽くなるためにするわけだし、そうじゃなきゃダイエットに成功したって言えないでしょ?」
男「それはもちろんそうさ。結果的に、体重が軽くなる、つまり、痩せる。イコール、ダイエットが成功したと判断する、何も間違っていない」
女「そうよ」
男「でも、僕が言いたいのはそこじゃないんだ」
女「なんですって?」
男「要は、人はダイエットをするときに、体重でもカロリーでも【数値】を意識し過ぎている、っていうことなんだ」
女「だから、体重が軽くならなかったらダイエットしても意味ないんだし、体重を意識するのは当然じゃない?」
男「うん、意識するのは悪いことじゃない。むしろ、『やる気』を継続、維持させるためにも必要なことさ」
女「そうよ」
男「問題は、意識し過ぎてるという点にある」
女「どういうこと?」
男「例えば体重。レコーディングダイエットとか有名だけど、毎日体重を計測するのはストレスが伴ったりしない?」
女「そうね…食べる量を減らして、頑張って運動して、期待して、いざ体重計に乗ったら、そうでもなくって、ガッカリしたことは何度もあるわ」
男「カロリーやエネルギーの数値もストレスを生み出すことがあると思うんだ。これを食べたらこれくらい運動しないとダメ、みたいな話さ」
女「えぇ…カツ丼を食べた場合のカロリーと、それを消費するために必要な運動量とか見ちゃうと…好きな物を食べられなくて、ストレスが溜まるわね」
男「あとはそうだな…数値とは違うかもだけど、日にちとかもストレスの原因となり得ると思う。ダイエット何日目とか」
女「あぁ…わかるわ。ダイエットしようと毎日頑張って、10日くらいしてもほとんど成果がなくて、心が折れちゃうことは何回もあったわ…」
男「苦労してきたんだね…」
女「ううん、そんなことないわ。本当にダイエットを成功させた人は、もっともっと苦労してるんだろうし…」
男「ダイエットを成功させること、痩せることは、大変なことで、簡単じゃないよね」
女「えぇ…本当にそうね。だから、本当に絶対にダイエットが100%成功できる方法があるなら知りたいけど、私には無理かしら…」
男「『簡単にダイエットできます!』みたいな広告を見ることがあるけど、僕は絶対に信じない。なぜなら、ダイエットを成功させるのは簡単じゃないって理解しているからだ」
女「失敗を繰り返して私もそう思ってるんだけど、甘い言葉に誘われてついつい惹かれちゃうのよね」
男「僕が信じていないだけだから、魅力的なダイエット方法があるなら試してみればいいと思う、向き不向きもあるだろうし、絶対に成功しないとは言えないから」
女「そうかしらね。まぁ、今は無理してでも痩せたいとは思えないわ。簡単にできるなら話は別だけど」
男「ダイエットに限った話じゃないけど、簡単かどうかは、人それぞれだと思うんだ」
女「ほとんどの人は、苦労せずに痩せたいって思ってるはずよ」
男「その考え方が根本にあるうちは、どんな方法を試しても難しいと思う。苦労を継続するのは簡単じゃないよ」
女「それで、多くの人はダイエットに失敗しているのね」
男「そうさ。だから『やる気』を継続できる考え方になることができれば、例え苦労の継続であっても、ダイエットに成功することができる」
女「話がまた元に戻ったわ、それができないから、みんな失敗してるって言ってるじゃない」
男「本人の『やる気』次第と言ったろ?成功した人は、『やる気』を継続する考え方ができたから成功したんだ」
女「よくわかったわ、私には痩せるための『やる気』を継続する考え方ができなかった、だから失敗した、ってことね。これでいいでしょ?」
男「そう悲観的にならないで欲しいし、それが理解できているなら、上手くいかなかった理由も、ここまでの話で何となくわかったんじゃないかな?」
女「えぇ…アナタが言いたいのは、例えダイエットに成功するためとは言え、【数値】を意識し過ぎて、それがストレスになって、苦労になって、『やる気』を継続できなくて、失敗する、ということよね」
男「そうなんだ、だから僕は、ダイエットを本当に成功させたいなら、【数値】よりも意識すべき、見るべきものがあると考えている」
女「つまりそれが『やる気』を継続させるための考え方、ってわけね?」
男「そういうこと」
女「で、じゃあ…そろそろ、それがどういう考え方なのか、教えてくれるかしら?」
男「いいよ、要するに」
女「はい」
男「『本気でダイエットを成功させたいなら【数値】ではなく【〇〇〇】を見よう!』という話さ」
女「まるまるまる?何それ??」
要は、次回に続く
という話だ。
★ ★ ★
【無料】絶対にダイエットが100%成功する方法を教えます!【前編】
作:憚 岩三
出演
男…尾床 亜名太(おとこ あなた)
女…温菜 樹実(おんな きみ)
この文章はフィクションです。
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