短編集
綾羽
中身で好きになった
ジャンル・ホラー 残酷描写有り
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20--年 -月-日
◇―◇―◇
真夏の日、陽が目立っている。
俺は一つあくびをしながら、彼女のことを考えた。
俺は今、1人の子に想いを寄せている。とは言っても年下。けど、そういうところでまた一緒にいたくなるのもその子のいいところだ。
初めてその子を見たのは春の日の教室。
その顔を見て、一目で好きになった。いわゆる一目惚れってやつ。
ワイワイ騒がしい彼女の教室の中、その顔はとっても目立つものだった。
周りの奴らが話しかけないのに俺は結構な違和感を持つ。
けど、狙うことに決心がついたのもこの時だ。
彼女はいつも清楚な顔をしている。普通の顔だ。俺はその顔だけは好きになれない。
まあ、入り込むのに少しは嫌いの感情もあっていいわけだから、そこら辺の事は別にいい。それに、彼女のその顔が好きになれないのは周りも同じようだった。
彼女の取り巻きさえも、ものすごく引いているような感じだったし。
◇―◇―◇
俺はクラスの中心にいる様な人間。だから彼女は確実だろう。
休み時間、真夏の空を見て思う。彼女を好きになってから月日が経ったと改めて感じた。
何を考えても彼女の顔ばかり浮かんでくる。まあ一目惚れなんだから当然か。
思わず笑みがこぼれる。このまま声に出して笑ってしまいたい。
「どうせ顔で好きになったんでしょ」
突如、頭の中に昔の事がフラッシュバックした。
最初の恋―いわゆる初恋の時に、姉から言われた言葉だ。
「ちげーよ。今回も中身で好きになったんだ!」
少し叫び気味で答える。
だが、バックはそれきりだった。
因みに、俺は嘘などついてない。
◇―◇―◇
その日の放課後。俺は足早に彼女の教室へ向かった。
急いでいたが、服装は崩れてなさそう。服装が崩れてちゃなんの意味もないからな。
教室へ着くと、彼女は笑っていた。
目線の先には女の子。
彼女はその子の持ち物やら教科書やらを手当たり次第に踏みつけていく。
周りは何も言わない、だから俺が狙うんだ。
やっぱり彼女の顔は、
ほら、間違ってないだろ。今回も中身で好きになったってコト。
◇―◇―◇
俺はあいつらに追い詰められた。
何も悪いことなんてしてないのに。
ただ構ってただけなのに。
なので、この想いを次にも持っていくことにする。
入り込まれちゃった子はご愁傷様。
もしかしたら、君のところにも……ね。
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