第29話 大聖堂の戦い その5
屋根は崩れ、そこには巨大な黒いカプセル状のものが下に傘を広げた感じで扉が開いていた。
アルトゥールの手には、M16ライフルとグレネードを抱えた姿があった。
「逃げるぞ!! 入り口へ走れ!」
そう言うと、次々とオークたちに向かって回転式弾倉のグレネードランチャーとライフルを乱射し道を作る。
「忍法!目くらまし!ちょい増し増しで♪」
シルヴィーが飛び上がると、四方に煙のでる球体を投げ込むと、破裂して黒い煙が辺り一面に吹き出した。
先頭は走っていたエドの足が、入り口に差し掛かったところで止まった。
「何やってんの! はや・・・・・・」
後方から、走って来たシルヴィーの声が止まった。
外を覗き込むと、そこには埋め尽くさんばかりの魔王軍の兵士と奇怪な生物が蠢いていた。
「ここから、どうやって逃げればいいんだ」
エドが生唾を大きく飲み込んだ。
「そろそろだ! 行こう!」
そう言うと、突如詰めかけていた魔王軍が破裂し四散して倒れて行く。
上空には、巨大なプロペラエンジンを4基搭載した全長30mほどの大型輸送機のガンシップが飛んでいた。
そこには、とGAU-12 25mmガトリング砲5砲身と40mm機関砲が激しく地上に向け
アルトゥールは、最後のグレネードランチャーを大聖堂内にある銃器補充カプセル向けて撃つと、ソフィアを前に抱えると走り出した。
内部には、まだ、大量の弾薬が残っており大爆破を起し、大聖堂の壁は、もろくも吹き飛び、屋根が崩れ落ちた。
「こっちだよ!・・・・・・ぴょん」
「ぴょんは、もういいから!」
「あそこの石壁を破壊して!! ぴょん」
アルトゥールは、手榴弾を投げ込むと一部の壁が崩れて、人が通れるほどの穴が現れ飛び込んだ。
上空からは、ガンシップの銃撃が大聖堂を中心に続いていた。
崩れた大聖堂から飛び上がる影があった。
黒山羊のバフォメットが、翼を広げ大きく羽ばたくと一気に高度をあげ上昇をして行く。
ガンシップは、光学赤外線によりバフォメットの姿を捉えガトリング砲が高速に回転し
バフォメットは、腕を伸ばすと黒紫の魔法陣が現れ銃弾を食い止めた。
だが、数発で魔法陣は砕け消滅し体に数発被弾した。
「凄まじい攻撃力だ・・・・・・」
器用に、片方の翼だけを大きく羽ばたかせ、旋回しながら銃撃を避けて行く。
ガトリング砲は、完全に追尾しており銃撃は止まらない。
ガンシップが、激しい光と音を轟かせ105mm榴弾砲を撃ち始めた。
バフォメットは、即座に左手を伸ばし魔法陣を展開させたが、魔法陣は激しい衝撃で吹き飛び左腕もなくなっていた。
あわてて、旋回し右手に持ったオノを振り回すと榴弾砲は弾かれて行く。
ガンシップは、ガトリング砲も集中して来たので、バフォメットは、空中で避けているのが手一杯で近づけなかった。
上空から一直線に速度上げて落下した物体がガンシップの上に落ち激しく揺れた。
そこには、漆黒の鎧に身を包んで漆黒のマントをなびかせてミノタウルスが立っていた。
ミノタウルスが、大きくオノを振り下ろすとガンシップは激しく揺れ、もう一度振り下ろすと根本からガンシップの翼が折れ、落下し始めた。
バフォメットが、魔法陣を出すと黒い塊が現れガンシップ目掛けて飛んでいき当たると同時にガンシップは激しく爆発し燃え上がり黒い夜空に火球となって、郊外に落ちて大爆発した。
ミノタウルスは、バフォメットに羽ばたいて近づいた。
「貴様は、大切な存在。早くその腕を治療してもらえ」
アルトゥールたちは、潜入して来た地下道を戻って走り続けていた。
暗い通路をタクティカルライトの明かりを、頼りに突き進んでいた。
「馬車だ! あの馬車を使おう!」
そこには、王族が逃げ出すために用意していた大型の
全員乗り込むと、エドはシュティーナを寝かせると馬の手綱を握りしめ激しくムチいれた。
アルトゥールは、ソフィアが倒れないように抱きかかえて座った。
馬は、激しく唸ると二本足で立ち上がり荒々しく走り始めた。
馬車は、一直線に伸びる広い坑道を馬は、息遣いを荒らしながら全速力で走り抜けて行く。
後方から、複数の足音が地鳴りをあげて追いかけて来る。
足音からして、数の多さが暗闇で見えないながらも分かった。
「まかして! 忍法! 大火竜演舞!」
そういうと、どこからか大量の火のついた黒い球体を取り出すと、後方に投げ飛ばした。
しばらくすると暗闇から、大爆発の音と衝撃が響き渡り火柱が上がっていた。
だが、後方からの足音は途絶えることがなく近づいて来る。
「前方からも敵だ! コボルトとゴブリンの集団だ!」
エドは、手綱を握り似ながら叫んだ。
「そのまま走るんだ! どうにかする!」
アルトゥールは、立ち上がりM16ライフルで応戦して行く。
引き金を引くたびに
アルトゥールが前方から来る敵に襲撃をして行くが、撃ち漏らしたゴブリンが小柄で瞬発力を活かし馬車に取り付いて行く。
ゴブリンたちは、
シェスティンがソフィアを支えながら、風の精霊をつかって吹き飛ばして行く。
それでも、ゴブリンは次々としがみつき、よじ登って来る。
馬の手綱を握っているエドに、複数のゴブリンがしがみつきついていた。
シルヴィーは、クナイを使い果たし短刀を引き抜くとエドに取り付いているゴブリンを剥がして行く。
ライフルで前方を射撃しているアルトゥールにもゴブリンは襲いかかり手足に噛み付いていた。
後方からの大群も荷台に手を伸ばすと届きそうな距離まで迫ってきている。
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