塔原島郷 改 〜幻想魔術編〜

水霊氷Water ice

第1話「呪われし存在」

「塔原島郷」、地上から遥遠くの空に位置する広大な大地を誇る浮島。ここは膨大な結界に守られ、神に守られている。

この世界には魔法、能力、そしてさまざまな亜人種が暮らしてる。

この大地にさまざまな気候、環境、天候が存在し、大地に満ちている魔力によってこの郷は自然豊かであり魔術が存在する。

そんな世界にも学校があり、学力の代わりに魔力、そして能力によって全てが決まっていた。

 魔術王国、郷の4割を占めている統治領土である。


魔法学校 郷帝高等魔術学校があり、主に位階魔法、属性魔法そして、この学校に入る祐逸の条件である、塔力(固有魔法)を教え、学ぶ学園である。

人間種以外にも様々な種族がいる為か、この学校にも獣人や、妖精、精霊種など、数多くの生徒が通っていた。


「神に反する力」


そんな学校に通っている、僕は無月 玲依。

「魔力、I 塔力Ⅲ 能力Ⅳ 属性Ⅱ 」と言った、なぜ入れたのか不思議な検査結果が出たのだが、なぜか合格。今年の4月からこの塔原郷の都市にある学校に通うことになった。

4月

入学の日になり、朝早くに学校へ向かった。

最初は、小さく浮いているかの様に見えた校舎だったが歩いているうちに近づき、本当に浮いている校舎に驚いた。しかも、とても大きな学校であり、一国のお城の様な建物だった。

到底、歩きでは行けない為、仕方なく魔力で翼を生やし飛びたち学校へ行った。

 学校へ辿り着き、敷地内に降りると周りにいた生徒達は一斉にこちらを凝視した。

「え?」

あまりの出来事に玲依は驚き、その場で固まってしまった。

「黒い、翼、、」

「!」

こちらを見ている生徒の中から、ある女性が玲依の翼のことを見て指摘し、注目の原因がわかった。悪魔の様な漆黒の翼で空から現れたことに生徒達は驚き、他は箒や空中魔法を使う中、翼で、しかもその見た目が珍しかったのだ。

入学早々、「悪魔の翼を持つ者」として噂になり目立ってしまった。しかし、この後の魔力適正検査で学校、全生徒から噂になることとなった。


「属性」、火、水、木、土、金の五属性であり、ごく稀に闇属性や光属性、神の属性と言われる、日、月属性の適性がある。

誰しもが五属性の内どれかの適性があり、適性属性が多ければ多いほど優秀であるという証になっていた。

しかし、玲依は適性属性ゼロ。

どの属性も使えず、そして全て弱点属性との結果になった。

最初はそこにいた先生と、少数の生徒だけが知っていた事だったが、このことは次の日には生徒全員が知り、無能力者といわれ、距離を置かれるようになった。

だが、一つだけ覚醒している属性の反応があり、水晶が紫色に輝いたのだ。

「これは、!」

次第に水晶にヒビが入り始め、気がついた時には周辺闇の魔力が漂っていた。

「これほどまでの魔力、、、」

今の光景を見ていた教師、生徒はあまりにも濃い属性、そして高い魔力に恐怖し、検査は中止となりこの日は変えることになった。しばらくして試験の帰る途中、後ろから突然女の子に声をかけられた。

「あ、あの、」

「なにか?、、、、、!」

どうせ、試験のことをバカにしに来たのかと思い、嫌々後ろを振り向くと朝の翼のことを言っていた女の子だった。

「君は、、」

「わ、私は、初夜月 海友。あなたと同じ新入生よ」

そういった女の子は、黒上の長髪でとても美しい容姿をしていた。だがなぜ、そんな子が僕に、、

「ご存知かも知れませんが僕は無月 玲依。

ところで、貴方は僕に何の用ですか?」

「そのー特に、用てことじゃないんだけど、」

「?」

女の子は急に顔を下にしモジモジとし始めた。

何か言いにくいことでもあるのだろうか?

「えっと、実はー」

しばらくした後女の子は口を開き、何かを話そうとしたがある人物によって遮られてしまった。

「あのかわいい子じゃね、」

「え?どれどれ〜」

女の子の後ろから数人の男性達が何かを言いながらこっちに向かってきていた。

その声を女の子が聞いた瞬間、ビクッとし、裾を引っ張り始めた。しかしその手はプルプルと震えており、おそらくここの先輩であろう人たちに海友は怖がっていたのがわかった。

「君、僕の後ろへ」

「え、あ、はい」

自分でも何でこんなこんなことをしているのか分からなかった。

初対面の人間に対し、なぜ相手のことを挑発するような事をしたのか分からなかった。

「へぇー、男持ちかー」

「くく、ならその男を始末するまでだな」

なんて思考なのだろうか、

玲依は女の子を後ろのに回しながら、男性達のとんでも発言を聞き驚いていた。

「初対面の人にいきなり始末なんて言葉、随分ひどいんじゃないですか?」

「俺たちの邪魔な存在は消えて当然だよ、」

「そそ、君を消してそこのかわいいお嬢さんをいただくよ、」

「ナンパの域を超えてるぞ、」

「まぁ、そう言う事だから死んでもらうよ」

そう言うと、男達は手に魔力を集め、玲依向かって魔法を放ち始めた。

「まじか、」

第Ⅴ位階風属系統「ヘル ストーム」

第Ⅳ位階水属系統「ポイズン レイン」

第Ⅷ位階火属系統「ヘル フレイム」

一気に高位階の魔術が三つ一気に玲依に向かって放たれた。女の子はその強大な魔力に防ぐ方法がないと悟り、玲依の後ろでひざまづいてしまった。

「おいおい、彼女ごと消すつもりかよ」

「仕方ない、」

玲依はこの状況に逃げるわけもなく杖を取り出しいつも魔法を使う様に、詠唱を始め魔力を一点に集め始めめた。

「魔力よ、我に力を、」

玲依の元に魔力が集まり、紫色に輝き始めた。

「あの魔力は、まさか、闇!」

「なに、!」

「し、しかし、いくら闇とは言え我々の魔法とは桁が違う、消し去ることはできないだろう」

玲依が集めている魔力が紫色に輝いているのを見た男性達は驚いたが、すぐに自信を取り戻していた。

しかし、次の瞬間その自信はすぐに木っ端微塵に崩れることとなる。

「ヘルウェーブ」(第Ⅺ位階闇属系統)

「なっ、二節で上位魔法だと!?」

「くっ、体が重い」

男達周辺に大きな魔法陣が現れ、身動きが取れなくなっていた。

「あまり、この魔術は使いなくないんだ。だから、わかるだろう?」

そういうと、玲依の周りから獄炎が現れ男達が放った魔法が飲まれ、一瞬にしてあたり一面火の海へと変わってしまった。

「まっまさか!この魔力、噂の、、、くっ、」

「逃げる訳ないか、それじゃあ、さようなら」

次第に獄炎は男達の元へ辿り着き、体が燃え始めた。

「なっなんだ、この炎は!きっ消えない、、」

火炎耐性もつ者はかろうじて助かっていたが、何をやっても消えない炎に苦戦していた。

「獄炎(ヘルブレイズ)、耳にしたことはあるだろう。地獄のより深いところにある炎熱の炎、ありとあらゆるものを食らい尽くす、まさに地獄の炎。君の炎は、この世から消えるまで魂まで食いつく。」

「くッ、神々に反発するモノめッ!」

「驚いた、まだ喋るほど元気だとは」

「フンッ、こんな魔法俺の能力があればどうってことない。」

そう言うと、男は立ち上がり一瞬にして獄炎を消し去った。

「さっきは不意打ちで喰らってしまったが、もうそうはいかないッ!」

「まさか獄炎を消し去るとは、」

「今度はこっちの番だ、」

男は手に魔力を集め、詠唱を唱えた。

「燃え狂え、我に集いし、古の技術よ、」

「三節詠唱か、すこしまずいな」


第Ⅺ位階火属性系統「ブレイズニュークリアエクスプロード」

「これで終わりだ!」

巨大な魔法師が現れ、上空には太陽なような核の集まりが出現した。

「核か、、、くだらない、、、」

「玲依?」

「なんだと?」

「ブラックアウト」(第Ⅸ位階闇属性系統)

「なッ、!」

「う、、、そ、、、、」

男が放った強大な魔法は、玲依が放った闇に飲まれて、チリチリになって消えていった。

(一体何が、、しかも玲依はさっきとは明らかに雰囲気が違うような、)

「く、くそ〜!!何者なんだ貴様は!さっきから上位魔法を詠唱無しにバカスカと!」

「お前には関係ないだー」

「ちっ、まぁいい」

「、、、、」

「!」

玲依の足元に光り輝く魔法陣が現れ、そこから光の柱が玲依達を囲んだ。男は魔法で自身の姿を本来の姿に戻し、空に向かって大きく両手を広げた。

「クククッ、この時を待っていたのだ。まさか、あの魔術を打ち消されるとは思わなかったが、今はもういい。我は魔に属する者をこの世からなくす聖職者である」


『悪魔付き』

「聖職者、、、、、、。なるほど、お前はが悪魔付きを始末する教会の組織か、」

「今の発言でそこまで分かるとは、」

「この結界の陣を見れば丸分かりだ」

「ふむ、子供とは思えない知識と観察力だ」

「それで、その組織が彼女になんの用が?」

「まあ、本当は教えたくないが、、いいだろう教えてやる貴様が守っている女は人間でありながら異端の力を持つ危険人物だ。」

「異端の力だと?」

「だが、今回は良い収穫をした!」

「、、、、」

「異端の力を持つ人間と呪われた闇の力を持つ者を捕獲できたのだ‼︎」

男がくだらない話をしているうちに日が傾き気づけば、薄暗くなっていた。

「おや、嬉しさのあまり話しすぎたかな?」

男が油断しているうちに玲依は手に魔力を集め光の柱を握り始めた。

すると、触れた所から黒い闇が全体に広がり始めた。

「イロージョン」

黒く侵食した柱に亀裂が入り、光の結界は粉々に崩れた。

「なっ!」

「これは、固有魔術?」

「かの魔神族をも封じることができた、光属性の最上位階の魔術だぞ、」

「ならば、その身を持って確かめさせれもらおう」

「一体何をー、」

玲依はそう言うと、粉々になった光の魔力を手に集め槍を形成した。

「リバースプレー」

「チッ、部が悪いここは一旦行かせてもらおう」

男は自身の影をから黒い扉を召喚した。

(あれは、転移門!あの男高等魔法まで扱えるなんて)

「、、何処へ行くつもりだ、忘れ物だぞ」

玲依は男が扉を潜る前に、光の槍をなげ見事男に命中した。槍のスピードは光速を上回り、玲依が投げた瞬間に爆発が起き、気づいたら男に槍が刺ささり倒れていた。

「ガハッ、君のこの力は、、」

「さらばだ、」

手に闇の魔力を集め、倒れた男に向かって放った。

「ヘルブレイズ」

物凄い熱風と共に紫色の炎は高く燃えており、

消えた頃には跡形もなく燃え尽きていた。

「さて、帰りますか、」

玲依は何事もなかったかのように、明るい顔で私の顔を見てきた。さっきまでの異様な雰囲気は消えており、私は少し安堵していた。


「彼が噂の無月玲依ですか。」

「高密度の魔力の通報が入りきてみれば、まさかこんなことになっているとは」

「教会の人間もそうですが、彼の闇の魔力、あのちからは野放しにはできませんな」

「本来5属性不良者は即退学だが、今回は彼を合格とし、我が校で監視するとしましょう」

「えぇ、それがいいかと、」

「彼女のことも気になる、」

「うむ、教会が動くほどだ、彼女も監視の対象としよう」

「了解しました。」

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【郷帝魔術高等学校】

塔原郷中心の都市シルシティーにある5階建ての郷帝高等魔術学校。地下には大図書館と地下とは思えない庭園があり、別館も存在する。

政府直属の組織であり、巨大な敷地を持つ学園。




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2024年6月21日 19:00

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