【カミサマ】

【カミサマ】


カミサマを見た者は一人もない

けれど、多くの者がカミサマを信じている


カミサマに何かしてもらった者はない

けれど、多くの者がカミサマに助けを求めている


カミサマの化石、カミサマの形跡、カミサマの存在の裏付けとなる何かが見つかったことは一度もない

けれど、多くの者がカミサマに祈る


あるいは

と祈る


カミサマに礼を言うこと、それ自体は個人の自由だ

カミサマに助けを求めること、それは虐げられた弱者の最後の手段だ


けれど、個人の自由の元にを掲げて争うことは、自由ではない

本当の最後の手段はであり、カミサマに祈ることではない

カミサマへの信望は争いを起こす正当な理由にならない

カミサマへの祈りは最後の手段として使えない


それでも、人々はカミサマを信じて宗教戦争を繰り返し続ける

宗教戦争というに巻き込まれた弱者の最後の手段はによる祈りしかない

人間の思想で生まれた弱者の最後の手段は、 人間による懸命な努力ではなく、思想による祈りしかない


カミサマは人間を救えない

カミサマは人間を殺せない

人間は人間を殺すことが出来る

人間は人間を救うことができる


何かを信じるというなら、カミサマではなく人間を信じたい

人間の思想が集まったカミサマに救いを求めるよりも、人間の思想を集めて救いを求める人間を救いたい


例え、どこかに本当にカミサマとやらがいたとして、ソイツはいつでも傍観者だ

そして、人間もいつでも傍観者だ

しかし、同じ傍観者でもカミサマと人間は違う

カミサマは今まで何もしたことがない

カミサマは人間を助けてくれない

人間は何かを出来る

人間は人間を助けることが出来る


カミサマとやらを信じること、カミサマに祈ること、それは個人の自由だ

それでも俺は、一度も見たことも会ったこともないとやらよりも、何度も何度も見てきたとやらを信じたい

どんなにヒトが嫌いでも、どんなにヒトが愚かだと感じていても、弱者を守り、弱者を救うことが出来るのはヒトしかいないのだから




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