ティアル・ナ・エストレア ー青髪の双子の王子ー
涼月
第一章 伝説の始まり
第1話 宇宙の彼方の物語
群青に染まる
煌めく雲の片隅に、地球と似た青い星がある。
エストレアと名付けられたその星は美しく、
最高峰、
宇宙の神はその畔に、一組の男女の命を授けた。
そして二人に一振りの銀の剣と、宇宙を閉じ込めた藍色の石の指輪を与えたのだった。
こうして、エストレア星に人の世が始まった。
その数を増やし、エストレア星の全土へと散って行った人々は、辿り付いた先で苦難の果てに、それぞれの生活を築いて行った。
それは、人種の違いを生み、民族の違いを生み、その違いゆえに誇りと団結と、排斥の心を生み出した。
長い長い年月の後、森の奥の小さな泉のことは人々の記憶から薄れていったが、剣と指輪を守る者のことだけは、『ティアル・ナ・エストレア(エストレアの希望)』と呼ばれ、伝説となった。
だが、その伝説も、やがて人々の記憶の奥深くに眠るおとぎ話となってゆく。
『ティアル・ナ・エストレア』がどこにいるのかも、その真偽でさえも、定かで無くなった。
最早人々は伝説を忘れて、日々を生きていた。
これは、遠い遠い宇宙の果ての物語―――
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