thinldlity-シンルドリティ-【景宮兄妹編】

双瀬桔梗

幕開『想造力』

 『想造力そうぞうりょく』とは。


 “おもい”からモノをつくすことができるちから

 心有こころありしすべてのものが持つ、不思議ふしぎな能力のうりょく


 つくれるモノの種類しゅるいりょうによって、能力値のうりょくち(想造力値そうぞうりょくち)を【C】【B】【A】……そして、【S】にけられる。

 能力値のうりょくち判明はんめいするのは、三歳さんさいから五歳ごさいまでのあいだなにつくせるかは完全かんぜんにランダムで、両親りょうしん趣味嗜好しゅみしこう能力値のうりょくち判明はんめいするまでの過程かてい影響えいきょうしているということはないようだ。


 能力値のうりょくち【S】のものは、本人ほんにん存在そんざいであれば、どんなモノでもつくれる。また、一説いっせつには、この存在そんざいしないモノまで生み出せる、想造力値そうぞうりょくち【Z】の人間にんげんもいるとわれている。


 『想造力そうぞうりょく』でつくったモノは基本きほん二十四にじゅうよ時間じかん以内いないえてしまうが、ひとつよおもい……欲望よくぼうねがい・あいにくしみなどめられたモノは、ながあいだ……場合ばあいによっては、つくんだあと存在そんざいつづけるとわれている。

 ときには、つくおもいや記憶きおくが“える”ことも。


 海外かいがいでは──



「──thinldlityシンルドリティとも呼ばれている」


 とある研究施設の一室に、黒髪の幼い少女が一人。研究員に渡された資料をペラペラとめくっていた手を止め、そっと机の上に置いた。


「おにいちゃん……」

 少女はポケットから白いBB弾を取り出して、悲しそうな声で呟いた。

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