白咲さんは何度振られても立ち直る、まるでゾンビだ。
日泣
プロローグ
「
「100年後かな」
このクソ暑い中、凄まじい熱量を帯びた瞳をキラキラと輝かせ、俺を見つめてくるこの女は、
明るいミルクティーベージュの長髪がサラサラと夏の風になびいているのが嫌に様になっている。
朝の駅のホームで電車を待つ俺は、たびたびこの夏を体現したような女につかまり口説かれる。そして白咲も飽きもせずに毎日のように俺を口説く。
「そのころには117歳かあ。元号はなにになってるんだろうね?」
「もう死んでるわとっくに」
何でそんな悲しいこというのー!と涙目になる白咲を横目に、到着した満員電車の扉が開くのを確認する。
「じゃあまた明日な、白咲」
「ちょっと!!まだ朝だよ!?どこいくの!?」
ひらひらとら手を振って白咲とお別れする俺を追いかけて電車に飛び乗る白咲は、いつに増しても元気だ。なぜこいつはこの憂鬱な朝から元気が身に余るほどのエネルギーを蓄えているのか、少しばかり考える。白咲がいつも手にもっているいちごミルクの200ml紙パックにその秘密があるのかもしれない、なんて考えながら今日も俺は窮屈な電車に揺られてゆく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます