白咲さんは何度振られても立ち直る、まるでゾンビだ。

日泣

プロローグ

慶崎けいざきくん!いつになったら私と付き合ってくれるのかな?」

「100年後かな」


このクソ暑い中、凄まじい熱量を帯びた瞳をキラキラと輝かせ、俺を見つめてくるこの女は、白咲しろさき

明るいミルクティーベージュの長髪がサラサラと夏の風になびいているのが嫌に様になっている。

朝の駅のホームで電車を待つ俺は、たびたびこの夏を体現したような女につかまり口説かれる。そして白咲も飽きもせずに毎日のように俺を口説く。


「そのころには117歳かあ。元号はなにになってるんだろうね?」

「もう死んでるわとっくに」


何でそんな悲しいこというのー!と涙目になる白咲を横目に、到着した満員電車の扉が開くのを確認する。


「じゃあまた明日な、白咲」

「ちょっと!!まだ朝だよ!?どこいくの!?」


ひらひらとら手を振って白咲とお別れする俺を追いかけて電車に飛び乗る白咲は、いつに増しても元気だ。なぜこいつはこの憂鬱な朝から元気が身に余るほどのエネルギーを蓄えているのか、少しばかり考える。白咲がいつも手にもっているいちごミルクの200ml紙パックにその秘密があるのかもしれない、なんて考えながら今日も俺は窮屈な電車に揺られてゆく。

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