第11話 アストライヤー
~次の日~
今日も朝からギルドに来ていた。
ドンク師匠に聞きたい事があったからだ。
・サリーヌ
「おはよう、ニュートちゃん
ドンクは今日も居ないわよ。
どうだろう、2,3日は帰ってこないんじゃないかしら。」
・「そうなんですね
ん~、じゃあどうしようかな。」
・サリーヌ
「どうかしたの?」
・「今日は純粋にLV上げがしたかったんですが、どこが良いか聞きたくて。
それにこの武器の事も聞きたいと思って」
・サリーヌ
「そうだったのね、、、
ん~、ドンクはトリナ村に行ってるはずよ?
数日前に行ったんだけど、何か問題でもあったのかしら。」
・「トリナ村ですか?
たしか、前にオークに攻められた所でしたよね?」
・サリーヌ
「そう、その村よ。
そこに居る兵士の武器を新調してほしいって依頼が来ててね。
それで向かってから帰ってきてないわ。
よくある事だから気にしてなかったけど。」
・「じゃあ、俺もトリナ村に向かってみます。
サリーヌさんありがとうございました。」
・サリーヌ
「あ、ニュートちゃん。
トリナ村に行くのならお願いしてもいいかしら。」
サリーヌさんが作業場に入っていく。
暫くすると部屋から1つの鞄を持ってきた。
・サリーヌ
「この鞄を村長さんに届けてもらえるかしら?
私の作った服が入っているわ。」
俺は快く承諾する。
・「解りました、では早速行って来ます。」
工房から出るとキロスとクラスの姿があった。
どうやら俺を探していたようだ。
・「キロスにクラス、おはよう」
・キロス
「あ、ニュート兄ちゃん見つけた!
兄ちゃん、この武器ありがとう。
本当においらが貰ってもいいの?」
・クラス
「おはよう、ニュート
今日はキロスがどうしてもお礼が言いたいと、
忙しかったかしら?」
・「大丈夫だよー。
その武器はキロスが一番使いこなせるだろうから貰ってあげて。」
キロスは武器を見詰めながら何か考えている。
・キロス
「実はさ、まだ使ってないんだ。
神器って言われてビビちゃってさ、、
良かったらこれから試し撃ちしたいんだけど、ニュート兄ちゃん一緒に来てくれないかな?」
ん~、まぁそれ位なら良いか。
試し撃ちは大事だしね。
・「今日は後でトリナ村に行く予定があるから、それまでなら大丈夫だよ。
じゃあ、ミトラ湖にいこうか。
あそこなら思いっきり撃てるんじゃないかな?」
・キロス
「本当?ありがとう兄ちゃん!
早速行こうよ。」
キロスは逸る気持ちが抑えきれないようだ。
・クラス
「用事の方は大丈夫?
無理しなくていいのよ。
キロスの事は私が見てるから」
・「そんなに急いでいる訳でもないから大丈夫。
キロスが強くなるって事は俺たちPTの重要課題でもあるしね。」
そんなわけで、トリナ村に行くのは一旦お預けにして3人でミトラ湖に向かう。
キロスの神器か、、確か凄い性能だったよな。
・「キロス、武器の性能は聞いているか?」
・キロス
「性能?」
・「鑑定してもらった時に教えて貰った武器の能力だよ。
知りながら使った方がより能力を引き出せるぞ。」
・キロス
「聞いてないかも、父ちゃん舞い上がってたからさ、武器を渡した後は知り合いのじいちゃんと『メダリオン』の事ばかり話してたし。」
成る程『メダリオン』の事めちゃめちゃ気にしてたしな。
・クラス
「ニュートの物なのに、見せびらかせる為に今夜パーティーを開くって言ってるのよ?
全く、困ったものですわ。」
まぁ、一番有意義に使ってるんじゃないかな?
セントさんが喜んでいるならそれでいい。
・「そんなに喜んでもらって光栄だよ。
キロス、武器の能力教えておくからしっかりと覚えておいてね。」
・星々の杖
魔力攻撃力アップ 魔力消費軽減
指輪変化 属性強化 自動防壁
目視テレポート ???
・「だったはずだよ。」
・キロス
「よく覚えてるね、兄ちゃん」
・「一応職人見習いだからね、アイテムは出来るだけ覚えてなきゃね」
・キロス
「ほへぇ~、すごいなぁ~」
感心しながら歩くキロス。
そのまま雑談しながら歩き、ミトラ湖に到着した。
・クラス
「綺麗ね、いつか一緒に行きたいと思ってたけど。
もう夢が叶っちゃった。」
クラスが嬉しそうにつぶやく。
そして、止まらないキロスが興奮気味に、
・キロス
「じゃあやってみて良い?」
徐に武器を構えて魔法を唱える
得意の炎魔法だ。
焦りのあまりライ兄の言う事を忘れてるな。
そして魔法が放たれる
じゅわ~、、、
湖に着弾するとそのまま消えて行く。
・キロス
「あれ?全然変わんないね?
おかしいな。」
・「落ち着いていこう、キロス。
今のは武器を構えただけで使っていないからだね。
武器を使うってことは、魔力を武器に通してから放つんだよ」
・キロス
「武器に通す?むむ~、どうやるか分かる?」
・「解るよ、ライ兄に教わったからね」
言ってみれば『魔装術』と原理は同じだからね。
工程とスピード、考え方が違うけど。
・「じゃあまずは武器に慣れよう
ずっとそのまま持ってるけど、指輪変化って使ってみた?」
・キロス
「指輪変化?」
そう言えば能力知らなかったな、、
・「多分だけど、武器を自分の一部だと思って魔力を流してみて、それから指輪に変化するように念じるんだ。」
・キロス
「自分の一部の様にか、やってみる」
キロスが魔力を練って武器に流そうとしている。
だが、なかなか武器に流れない。
・キロス
「むむむ、なかなか流れない、、、」
・「じゃあ一緒にやってみようか」
俺はキロスの背中に手を当てる。
そして魔力の流れを調べてみる
、、、なるほどね。
・「キロス、何も考えないで魔力を流そうとするから体内で火属性になってるね、意識して無属性で流して。
ほらライ兄に教えてもらっただろう?」
・キロス
「成る程、魔力の玉を作る感じだね」
キロスの魔力が練り上がる、次は無属性だ。
すると抵抗なく武器にも魔力が流れ込む。
そして武器が目の前から消える。
・クラス
「まぁ、すごい。」
・キロス
「武器が消えた、、でも存在を感じる。」
・「右手を見てごらん、人差し指に指輪があるよ」
キロスは指を見て驚愕する
そこに武器の存在を感じるからだ、キロスと武器は魔力でつながっている状態にある。だからそこに武器があると感じるのだ。
キロスは何度も武器→指輪→武器と変化させている。
・キロス
「すごいや、持ち運びにぴったしだ。
これで学園にも持っていける」
ニヤ付いているキロス。
あんまり目立たないようにね、、、
・「次は魔法を放ってみようか、武器の中に流した魔力を火属性に変換して放つイメージでやってみて。ゆっくりでいいから。」
・キロス
「わかった」
キロスが集中する。
俺はキロスの背に手を当てて流れを確認している。
・「順調だね、そのまま魔力を凝縮しながら武器に流して。」
俺の言ったとおりに魔力を操作するキロス。
しっかり練習していたんだな、実にスムーズだ。
武器に魔力が流れ込む。
あれ?流れ込む量が変化してないか?
・「これは、、、、キロス。
そのまま無属性で放てるか?」
・キロス
「え?このまま放つの?」
・「やってみて欲しい」
キロスは武器を前に出しながら魔法を唱える
『魔弾』
湖に魔力の玉が着弾する、そして大爆発が起こる。
凄まじい水柱が上がる。
・クラス
「キロス、貴方はどれだけ魔力を込めたの?
そんなに魔力をこめたら魔力枯渇になっちゃうじゃない」
クラスが混乱した。
そりゃそうか、俺も混乱している。
込めた魔力量と破壊力の比率が異常だ。
・キロス
「兄ちゃん、、俺、そんなに魔力込めてないよ?」
・「解ってる、俺もキロスの魔力量は把握していたから。
たぶん、これが魔法攻撃力アップの効果だろう、、
この武器、すごいぞ」
今更、神器の凄さに背筋が凍る
その気になれば村一つくらい吹っ飛ばせそうだ。
・「この武器をしっかり理解しないと大変な事になるな。
キロス、次は武器に流した魔力を魔力変換させてみてくれ。
恐らく無属性じゃないと武器に流れない、だから武器を使いこなすという事は無属性の魔力コントロールと魔法変換が大事なんだと思う」
・クラス
「ニュート、ライオット様みたい」
嬉しい言葉が飛んできた。
ちょっとイメージしてたのは内緒だ。
・キロス
「ちょっと怖いかも」
・「いいかキロス、武器を使うのは人だ。
怖がっていては武器に使われる人になってしまう。
武器の性能に魅入られちゃだめだ、使いこなすんだ。
自分の物にすれば自ずと武器も君を認めてくれるはず」
・キロス
「兄ちゃん。」
・「ドンク師匠の言葉だけどね。
さぁここなら誰も傷つけない、ゆっくりやろう」
キロスが頷く、クラスも俺と一緒にキロスの背中に手を当てる
・クラス
「ニュートの力になりたいんでしょ?
怖がってちゃだめよ、私もニュートもここに居る。
安心して放ちなさい」
・キロス
「ねぇちゃん、、、分かった。
全力でいくよ」
キロスの魔力が一気に高まる、素晴らしい質の高さだ。
ライ兄に言われた事、しっかり練習しているんだな。
がんばれ、キロス!
そしてゆっくりと魔力が武器に流れ込む
・キロス
「兄ちゃん、、、何か声が聞こえるよ?」
・「何も聞こえないぞ?」
・キロス
「ぐぅぅ、、吸い取られる。」
なんだ?途中から魔力の流れがおかしい。
武器に、吸い取られている?
・「クラス、キロスに魔力を流し込め」
・クラス
「はい」
2人の魔力が流れ込む、しかし武器が魔力を吸い込む速度が加速する。
くっそ、負けるか、、
・「諦めるなキロス」
何故かな?
ここで武器を放しちゃいけないと直感的に思ったんだ。
キロスもきっとそうだったと思う、、、
怖かっただろう、、でも離さなかった。
・キロス
「な、、め、、る、、な」
キロスの魔力が炎に切り替わっていく、俺たちの魔力を取り込み武器の中で炎の魔力が渦巻く。
すごいぞキロス、、、こんな事が出来るのか?
まるで、『魔装術』じゃないか。
・キロス
「おれは、、、、キロス、、、カーティスだ。
兄ちゃんの為に、、姉ちゃんの為に、、
そして自分自身の為に、
強くなるんだぁぁぁぁ」
一気に魔力を解き放つ!
その時、キロスの声じゃない声が聞こえた
『アストラル・フレア』
武器から小さな炎の玉が飛ぶ。
湖の中心辺りまで一瞬で到着して爆発。
表す事の出来ない音と共に湖の水が半分蒸発した。
・ミズチを倒しました
・ミズチを倒しました
・ミズチを倒しました
・魔人蛟を倒しました
・ミズチを倒しました
・サーペントを倒しました
・ミズチを、、、、、
アナウンスが止まらない。
もの凄い数の魔物を倒してしまった。
・???
「君の魔力気に入ったよ。
キロス・カーティスだったね、
君を主人と認めよう」
・クラス
「武器が、、、喋った」
・武器
「君の魔力も素晴らしかったよ。
あたいは『アストライヤー』、以後宜しくね。」
『アストライヤー』と名乗る武器、意志を持つ武器?
まさか、、、
・「君は一体、、」
・アストライヤー
「おっと、そろそろ君達とは話せなくなりそうだ。
あたいは聖神器と呼ばれた物だよ。
思考と意思を持つ武器の一つ
キロス・カーティス。
君の力になろう、上手く使って。
ちなみに、女の子だから優しくしてね。」
勝手に指輪に戻った。
3人は何も言葉を発せられずにいた、、、。
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