第1話 私の名は。

―― 大和、黒髪山くろかみやま


「今年…12になる忍は一名でございますじゃ」

「…ふむ、して残されたときは?」

「60日ほど…であります」

「60日…、一人か……解った、決まり次第また連絡する」

「…では、失礼しますじゃ」




―― 黒髪山くろかみやまふもと


「いいか!お前達は各々、自身の長所、短所、身体能力、武具との相性、それらをかんがみて、どちらかの道を選び、そして生涯、その道を極めていかなければならない!」


「「「 はいっ! 」」」


技巧道ぎこうどうは、主にクナイを得物えものとし、誰の目にも止まることなく、ひと振りで標的の命を奪う暗殺の道である」


「「「 … 」」」


「そして、破壊道はかいどうこちらはカタルを得物えものとし、標的の命を奪うためなら手段を選ばず、ひたすらに突き進む鬼となる破壊の道だ」


「「「 …はい 」」」


「各自、常々つねづね自分の進むべき道をしっかりと意識して修行に励むように!」


「「「 はい! 」」」


「解散!」


毎週、週の初めの朝に、おこなう朝会は

おんなじ話の繰り返し。


返事するタイミングも、みんなプロ並みね。


ここは、複雑な理由?…がある子供を引き取り立派な大人に成長させてくれる場所なんだよ。


修行はきついけれど、みんなのお母さんが作った、ご飯はとっても美味しいのっ!


朝会が終わり、古びた木の部屋をみんなが出ていく。


自分の道は、自分で決める。

それがここのルールっ!

だから

ここからは、全部自由行動!

いつ寝ても、いつ起きてもいいの!

もちろんご飯だっておかわりし放題よ!

修行がしたい時は、その先生のところへ

お願いしに行くの!

だいたい喜んでくれるわ!


街への買い物? 洋服? デート?

う~ん、ここから出たこと無いから

外の事はよくわからないや、ごめん!


お腹が空いたしおいしぃぃご飯、そう!

みんなのお母さんが作った朝ご飯!

食べに行こうっと。


私は7人くらいしか座れない

小さな食堂へ、足を向けた。



朝日が優しく差し込む、渡り廊下で

後ろから私を呼ぶ声がした。


ああ、私の大事な、大切な、

あの子の声だ。



「おねぇちゃん、まってよぉぉ」


そう言いながら

小走りに近付き

ぎゅっと抱き付いて

見上げてくる大きな黒い瞳に

天使のような笑顔


私はこの笑顔を命を懸けて

守るって誓ったんだ。



あ、自己紹介してなかったね!

私は、11歳の佐賀サガ青螺セイラ

抱き付いているのが、妹の伊万里イマリ

イマリは8歳だけど

もうすぐ9歳の誕生日!!

ふふ…楽しみですっ!

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