バーチャルとリアルの境界線

４－１．５

　アンノウンを次々と撃破していくフレイと瀬川（せがわ）アスナ、お互いに汎用アバターでの参戦だがスコアはプロゲーマーにも迫っているほどだ。

アバターは汎用以外にもバーチャルアイドルが自身のアバターそのままで参戦することも可能である。

それを踏まえると、汎用アバターでプレイしているプレイヤーの数は……という事かもしれない。

　フレイの装備は近接メイン、アスナは遠距離メインなのだが、基本的に近接と遠距離武器は一種類しか装備できないのだ。

近接といっても、フレイもアスナも使用しているのは汎用武器のブレードなのだが、両社とも微妙にスポンサーの違う武器を使用している。

威力に違いがあるわけではなく、これは単純にデザインが違うだけというべきだろう。

（プロゲーマーでも、現状は手探りというべきか）

　アスナは他のマッチングしているプレイヤーの武器を見て、ほとんど自分が使用していた武器だと気づく。

マッチングに入っていたプレイヤーは六人、残りはＣＰＵという事にはなっている。

プレイヤーネームにシルフィードというプレイヤーは、存在するのだが……。

「途中までは三人だったのに、増えたのか？」

　フレイは三名のマッチングで確定したはずなのに、途中からマッチングが入ったことに納得していない様子だった。

バーチャルドライバーは最低でもプレイヤーが四名ログインする事が前提となっている。それに気づかなかったというべきだろう。

（そういえば、このゲームは最大八人プレイだったかな）

　アスナの方は気づいていたので、この辺りは何かを察しているようでもあった。

プレイヤーネームには見慣れない名前もあったのが気になる……。しかし、今のアスナにとってはシルフィードというプレイヤーネームが偽者やなりすましではない事を祈るだけ。

　お互いのプレイスタイルは全く同じではない。フレイが近接でアンノウンを撃破するのと、アスナが遠距離武器でピンポイント撃破していくのでは……。

ゲームによって、どのようなプレイスタイルが良いのか絞られたとしても、あるパターンだけが絶対というわけではないのだ。

特定スポンサーの武器ばかりが使用率の高い状況でも、その武器の使用率が１００％になることはない。それ位、バーチャルドライバーで今までの常識は通用しないのである。

バーチャルドライバーの武器に関しては基本的にスポンサー付きであり、スポンサーのない武器は存在しない。

それに加えて、強力な武器はガチャでしか出ないようなイメージも、バーチャルドライバーではないのだ。

このゲームはある意味でもゲーマーのスキルが要求される。そして、誰かのプレイスタイルをコピペすれば勝てる訳でもない。

　バトルが終了し、リザルトの表示画面に。スコアとしてはトップがアスナ、フレイはプレイヤーの中では最下位である。

ＣＰＵはノーカウントとしても、このスコアに納得できるようなフレイではない。これでは、まるで自分がアスナのかませ犬ではないのか……と。

（納得できない）

　フレイは圧倒的なスコアを見て、悔しいという感情よりも別の感情が出てきた。

確かに納得はできないような散々な結果を見せつけられているのは間違いない。しかし、それが今の自分なのである。

自分に足りない物は何なのか……スコアの数字が全てではないのは確かだが、何が足りないというのか？

（乱入者？）

　プレイリザルトをチェックし、どこかをクリックミスしたらしく、コンティニューをクリックしていたようである。

その為、マッチング画面を対戦格闘ゲームにおける乱入と間違えているのかもしれない。