インターミッション

 マッチング途中で、フレイはあるショートメールを受け取った。その差出人は、まさかのアオイドスである。

【アンノウンの正体、それは……】

 フレイはメッセージをチェックしようとしていたのだが、その途中でマッチングが完了したのでチェックできずじまいになった。

一体、何が書かれていたのかはフレイにとっても何となくは把握していたようだが……。

「今はシルフィードが優先か」

 マッチングの方では、既に別のプレイヤーと組まれているのが待機中の画面でわかる。

しかし、マッチング完了の表示が出る辺りでは、自分と瀬川せがわアスナ、シルフィードだけになっていた。

その理由は分からないが、バーチャルドライバーではチートツール対策が他のゲームとは比べ物にならないような仕様になっているらしい。



 アスナの方も不自然なマッチング調整は把握している。しかし、フレイとはリアクションは正反対なものだった。

むしろ、こうなることは既に織り込み済だったとも取れるような反応である。

(チートプレイヤーが弾かれる事くらい、バーチャルドライバーをある程度プレイしていれば分かるレベル……)

 しかし、アスナが気にしていたのはチートプレイヤーが弾かれたことではなく、ターゲットのアンノウンにあった。

その形状は明らかに今まで見たようなタイプとも違う物で、アーカーシャが撃破した個体とは若干似ているが、色違いというべきか。

こういう色違いの場合、大抵が後に出てきたものが強いというパターンだが、今回は……。



 アスナとフレイがプレイしている場所は自宅の為、リアルで遭遇しているわけではない。これがバーチャルドライバーの利点だろう。

リアルのゲーセンで設置されているゲームであれば撤去されてしまうと、プレイが不能になるケースが多い。

撤去と言っても、該当するゲーセンでは人気がなかっただけで、他のエリアでは人気というケースもあるかもしれないが、現実は非情なのだ。

これと同じことは草加市のARゲームにも言えるだろう。しかし、こちらは設置可能な場所も限られているので……。

 アプリゲームやソーシャルゲームの場合、パソコンやスマホさえあればプレイ可能というお手軽さが売りとなっている。

それだけでなく、メンテ中ではない限りはいつの時間帯でもプレイできるのも魅力だ。

ARゲームの場合、深夜はメンテになっているケースが多いので、これに関してはアプリゲームなどに負けてしまうだろう。

しかし、アプリゲームやソーシャルゲームでもサービス終了するとプレイが不能になるので、どちらが良いとは単純には言えないのだ。

それでも、草加市では近年になってアプリゲームやソーシャルゲームでもガチャに依存しないタイプに関しては支援する体制が整い始めている。

バーチャルドライバーでは、スポンサー付きガジェットが典型例だろうか。それ以外のゲームではパワードスーツや演奏用のコントローラーなどが該当する。

【バーチャルドライバーがはやり始めたきっかけは何だ? エウロペのプレイではないのは分かるが】

【アンノウン騒動は知っているだろう。その辺りからと聞く】

【都市伝説ではなく?】

【ロケテストの段階では、あまり話題だったような話は聞かなかった】

【つまり、アンノウン騒動はメーカーの……?】

 つぶやきサイトでもバーチャルドライバーのブレイクには、若干疑問を持つ者がいる。

しかし、だからと言ってないような話をあるように拡散していき、炎上させようという姿勢は許されるはずはない。果たして……この情勢を、フレイとアスナはどう変えていくのだろうか。

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