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 様々な事情が交錯し、フレイはフリーゲーマー同盟を立ち上げたのだが――その声に耳を傾ける者はいなかった。

大抵は彼がリアル配信者という事もあって、バズり目的の行動と判断されていたのが原因だろう。

それからしばらくして、バーチャルフィールドに現れたフレイと瀬川せがわアスナが接触、彼女がフリーゲーマー同盟に入ったことで流れは変わっていく。

フレイとしてもフリーゲーマー同盟のメンバーが増えるのは予想外だったし、向こうから入ると切り出したことも彼にとっては衝撃だったのだろう。

もしかすると、フリーゲーマー同盟自体はフレイ自身に何かしらのブーストをかけるための物だった可能性も否定できない。



 フリーゲーマー同盟にアスナが加わったことは、早速拡散されるのだが……その情報は不正確なものが多かった。

新メンバー加入や二名になった位であれば情報の収集中で済む話だが、中にはメンバーとして加入したのがエウロペというデマまで混ざっている。

こうしたフェイクニュースはガーディアンも把握しており、ニュースを拡散した人物の摘発が行われたのは言うまでもない。

これらの人物はエウロペに恨みを持った犯行というわけではなく、単純に『バズり』目的だったこともガーディアンは発表している。

 その流れを受けて、ガーディアンは緊急発表を行う。その内容は「安易なバズり目的でフェイクニュースを拡散しないように」というものだった。

SNS炎上やフェイクニュースの拡散が罰金の対象になるわけでもないのに、ここまでガーディアンがSNS炎上を目の敵にするのはどうしてなのか?

【ガーディアンはSNS炎上と過去に起こった大規模テロ事件を同等とみているらしい】

【SNS炎上をデスゲームとでも考えているのか? それこそ、彼らの行動は異常すぎるだろう】

【しかし、海外ではデスゲームを全面禁止という話もある。日本も……】

【馬鹿な! そういった話題はWEB小説の中だけだろう。そのニュースのソースも虚構サイトではないのか?】

【それは違う。話が飛躍しすぎて、自分も虚構サイトやフェイクニュースの類と思っていたが……】

 ガーディアンの発言を受け、その内容が飛躍していると様々な発言が拡散していく。

中にはデスゲーム禁止がフィクションであると否定し、ガーディアンの発言が異常すぎると炎上させようという人物もいた。

しかし、デスゲーム全面禁止は事実であり、フェイクニュースの類ではない。

デスゲームというワードを使ったのは、実際に使われている条約の名称で伝えてもSNS住民には伝わらないとガーディアンが判断したのだろう。



 ガーディアンのデスゲーム禁止発言自体、嘘が混ざっているものではない。それはフレイもアスナもわかっていた。

しかし、SNS住民がガーディアンの発言でさえも自分のバズり対象に利用しようとしているあたり、彼らは情報発信の手段を間違えている、と。

(まさか、アオイドスの発言が本当だったとは――)

 フレイも自分の動画で発言した一連の事例に関して、改めて驚いていた。アオイドスからの情報を得て、そこから発言したものが真実になりつつある。

バーチャルドライバーが、実はゲームだったという意味も――。

「ガーディアンが、ここまでやるなんて正直言って……」

 一方のアスナはガーディアンの発言が、いまだに飛躍していると考えている。

世界情勢を見れば、一連のデスゲーム禁止が事実であるのは間違いない。しかし、それはWEB小説上の話だと思っていた。

ある意味でもフィクションだったWEB小説の事件が、現実の世界で起こった事例ともいえるだろう。

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