第3話:新たなる刺客とプロゲーマー

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 瀬川(せがわ)アスナがバーチャルドライバーをプレイしたのは六月下旬頃、それを踏まえると――数週間は経過しただろうか。

様々なSNS炎上勢力が鎮圧されている情報はまとめサイトなどで取り上げられるのだが、新たな炎上勢力が誕生しているのも同じスピードである。

これではもぐら叩きと同じであり、エンドレスに続くだろう。ガーディアンも取り締まりを強化するのだが、局地的に効果がある程度に過ぎない。

 それでも、草加市以外のガーディアンが放置している炎上勢力の動きを止めるのには効果があったようである。

「わずか数週間でこのスピード、炎上している話題を見てもバーチャルドライバーとは無縁か」

 フレイは様々な炎上している話題を見て、バーチャルドライバーとは無関係な場所で炎上していると知った。

しかし、今の彼にとっては他のコンテンツの動向を様子見している時間がない。今は、バーチャルドライバーの真相を伝えることが重要なのである。

その中で、彼がノートパソコン経由で発見したとある動画は、バーチャルドライバーのプレイ動画だった。

(何だこれは?)

 プレイスタイルは別として、今までに見たことのない形状のアンノウンをフレイは気にしている。

アンノウンの形状は、今までがSFに出てきそうなクリーチャーにも見えたのだが、今度はどう考えても元ネタがあるようなデザインをしていた。

これは別コンテンツを炎上させるために運営が用意したものなのか? それとも、運営も元ネタに気づいていないのか?

【今までに見ないデザインだな】

【どう考えても、アレなのでは?】

【現実で目撃されているアンノウン、あのデザインと傾向が違うという意味だ】

【しかし、あのデザインは明らかにリアルに出てきたアンノウンを意識して、デザインを変えてきたのか?】

【そういえば、アンノウンのデザインを意識したことはなかったな】

【一体、どういう意図でデザインを変えたのか?】

【もしかすると、バズり目的かもしれない】

【大手メーカーではあるまいし、バズり目的でデザインを変えるのはあり得ない。それこそ炎上商法と言われかねないだろう】

 つぶやきサイトでは賛否両論の意見が飛び交う。しかし、それはフレイの考えているようなものとは全く違っている。

彼の考えているSNS炎上のレベルは、ある意味で世界大戦クラスと想定しているのだ。



 一方で、アスナが気にしていた動画はエウロペのプレイ動画である。彼女はピンポイントでSNS炎上勢力に敵意を持っているのだろうか?

そうした疑問を、エウロペの高度なプレイテクニックなどが上書きする。それ位に、彼女のプレイスタイルはアスナも若干参考にしようと考えている位だ。

(遠距離用武器も持っているはずなのに、近接だけであの動きは――)

 基本的に、バーチャルドライバーは近距離と遠距離武器で一種類は確実に装備している。

両方とも近距離や両方とも遠距離のようなスタイルは、現段階で実装されていない。将来的にカスタマイズの一つの選択肢として検討はしている――と公式では発表をしているが。

 動画上でのエウロペの動き、それは『蝶のように舞い、蜂のように刺す』タイプではない。

明らかにダメージを覚悟の上で懐に飛び込み、そこから攻撃を仕掛けるというようなタイプだ。

プレイスタイルとしてはよく見かけるような系統なのに、それをバーチャルアイドルとして人気もあるようなエウロペが……という箇所にアスナは違和感を持っている。

 

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