球体

サネッティ

第1話 序詞

思えばこれまでの人生、君がすべてだった。

初めて出会った時、君は美しく清らかだった。

君は明るくて綺麗でいつも笑顔が絶えなかった。

教えてほしい。僕はどうすればあの頃の君に会えるのか。

いつの間にか削られていた君の身体は骨だけになっていた。

彼女はどこかへ消えた。

視界の隅に映る街並み。

疑わず現実を受け止めてしまった。

身を粉にして得た君の種を蒔く場所はこの世界にはどこにも見当たらなかった。

教えてほしい。帰りたい場所はあるのに行きたい場所が見つからないんだ。

答えを求め俯いた。

視界の隅に見慣れた街並み。

顔を上げたその先に君がいた。

「ただいま」

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