ペンギンと夏休み

タキトゥス

第1話 僕はアデリーペンギン

僕はひとりぼっち。

ずっとこの白い世界で生きてきた。

親もいなければ友達も居ない。

しかもペンギンの癖にうまく泳げないんだ。


自虐できるペンギンなんて僕ぐらいだよね。

泳ぐの嫌だけどちょっと餌取ってこないと、じゃないとお腹ペコペコで泳げなくなるよ。

ペンギンが泳ぎが下手で餌取れなくて死にました、とか誰にも知られなくてもそういう死に方は嫌だね。


そもそも歩くの怠いなぁ、ペンギンだもの。

僕はよちよちと歩きながら海へ向かう。

銀世界が広がって最初は綺麗って思ってたけど目がチカチカする。

あと30分ぐらいかかりそうだ、、、

ペンギンが故に歩幅が短いんだよな。

そのかわりにペンギンは速く泳げるはずなのに僕は泳ぎすら嫌いなんだよ。

「はぁはぁ、疲れた、、、やっと着いたよ。」


一面と広がる大海原が僕を包み込むように迎える。この景色だけは抱擁感があって大好き、泳ぐのは苦手だけどね、、、

流石に羽毛のおかげで溺れることはない。ただ海流に流されるんだよなぁ。

今日は流石に流されないよね。

よし取りに行くか。


僕は海へと飛び込んだ。

「はーい。魚の皆さん食べないのでこっちに来てください。」

こんなので来るのかって?

彼らは僕はと違って馬鹿なんだよね。って泳げない僕が言っちゃ駄目か。


ほーら魚の大群がきた。

「いただきまーす。」

僕は口を大きく開けた。

「えっ?きゃあああっー!!」

口の中へと沢山の魚が入ってくる。

次は警戒されるって?いやいや、彼らは明日になれば忘れてるよ。


ふーっ。食った食った。体が使えないんだったら頭を使わないとね。

まあ他にペンギンがいたら僕の餌が減っちゃうからやっぱ1人の方が良いね。

寂しくても生きるためだもん。


そういえばここどこだっけ?

見渡しても陸が見えなかった。

「嘘だよね、、、僕帰れなくなっちゃった。」

泳ぐ分の体力がないからすぐそばにあった氷の浮島へと登った。

流石にこんな遠くまで流されたことがなかった。

大丈夫だよねこの状況?いつか戻れるよね。


僕は氷の浮島の上でまったりとくつろいだ、、、


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