イミテーション

リボルビング

プロローグ

薄暗い洞窟の中に3人の人影がうつっている。

一人は大柄な男。座り込んだ状態で壁に寄りかかっていた。

身体の機械化が見られ、わずかなライトの点滅でかろうじて稼動していることが見て取れる。


一人は女。壁面に埋め込まれたカプセルに取り込まれている。

各種生命維持装置らしきものに繋がれ、静かな呼吸音だけが響く。


最後は男、荒い息で銃を構え、背後にあるカプセルを守ろうと洞窟の通路を塞ぐように立っている。


状況から見て、カプセル内の女性を守るために二人の男が通路を塞ぎ、一人は力尽き、一人は踏みとどまっているようだ。


男「くっそうっ! マザーッ! これも予定通りかよっ!」


男が見る先には、男の服装と明らかに時代の合わない服装をした男達が、簡素な武装をしてせまっていた。

男達は村人であろうか・・・それは武装と言っても、簡素な農機具の類であった。

男と同様に、村人達も傷つき血を流しているが全く足を止めようとしない。


男「くっそうっ! もう勘弁してくれ!」


男は再度銃を構えるが、村人達の足は止まらなかった。

見れば目には生気が無く、どう見ても操られている。

男も彼らの状態を理解しているのか、来たものをすべては倒したくないようだ。


男「バンッ、バンッ、バンッ!」


もう限界だったのだろう、男の銃から3発の銃声が聞こえ、3人の村人が倒れた。

なるべく苦しまずに倒そうとしたのだろう、男の射撃はとても正確で、訓練された人間であることはすぐに分かった。


男「すまない・・・本当にすまない」


男は謝罪の言葉を発しながら倒れた村人に近づき、丁重に祈りの言葉をささげた。

おそらく今日だけのことではないのだろう。

男の表情からは精神的な疲労がありありと読み取れた。


男がしばらく床に座り込み、呼吸を整え立ち上がろうとしたとき・・・。

たいまつの明かりと共に、人が近づいてくることが分かった。

男はすぐに身構えたが、すぐに微妙な違和感に気がついた。


男「嘘だろ・・・」


入ってきたのは女だった。

小柄な村娘。

ただひとつ違っていたのは、村娘の目には生気があったことである。


村娘は男と目が合うと憎しみの表情に変わり、たいまつを放り投げ弓を構えた。


村娘「よくも○○をっ!」


男はその名前に覚えは無いが、操られていた村人の中にその名前の人物が居たのだろう。

男は一瞬で自分達が討たれる側であり、討たれる理由と抵抗できない状況を造られていたことを悟った。


男「・・・コレが理由かっ!・・・こんな理由を作る為に、俺達と村人達は犠牲にされたのかっ!」


男は村娘の方を見ず、洞窟の天井に向かって叫んだ。

それと同時に村娘は矢を放つ。

矢は男ののど元に刺さり、男は倒れた。


男「す・・・ま・・・な・・・」


すべての言葉を発する前に、男の声は消え、ただ動けず壁にもたれかかっている仲間を見つめていた。

仲間の男も動けない状態であったが、意識はあるようで、ライトの点滅を何かの信号のように繰り返していた。


村娘「 ハーッ!ハーッ!・・・なんで・・・なんで・・・」


男が攻撃してこずに倒されたことと、カタキを取れたことで村娘は放心していた。

放心しつつも薄暗い中で、不自然な光を発しているカプセルに目が行き、中に女性が居ることが娘を驚かせた。


村娘「た・・・たすけなきゃ」


村娘が近づいた瞬間。

カプセル内の女の目が開いた。

開いたと言うよりは、攻撃的な表情と目の力で、村娘をにらみつけたのだ。


村娘「ひっ!」


ひるんだ村娘は洞窟を逃げ出し、その場には静寂が訪れた。

静かな洞窟の中、床と天井から光がさし、投影機なのだろう、交差する部分に女性の立体的な姿が現れる。


女性の顔はカプセル内の女の顔と酷似していた。


女「・・・あぁ・・・止められなかった・・・。マザー、コレが私の役目?」


男と同じように、投影された女も誰かに向かって話しかけている。

そしてその返答なのか、・・・静かな、そして大きい声が洞窟に響き渡る。


マザー「貴女はバンシー・・・悲しみを見る者」


その声を聞いた投影機の女は、とても悲しい顔をして消えていった。

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イミテーション リボルビング @REVO

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