第10話 竜帝が出た。誰だそれ?
第10話 竜帝が出た。誰だそれ?
「いやー、すまんすまん。こいつがちっこいのを弟子に取ったというんでな、どんなやつか気になったのさ」
その痴漢のおっちゃんはそう言って頭を描いた。
爺ちゃんよりは若く見える壮年の人で、灰色の髪を後ろになでつけてピシッと固めた引き締まった戦士といった感じのおっちゃんだった。
「なあ、こいつばかだろ?
子供好きでな、だが孫たちとはめったに会えないってんでちびっこいの見ると絡みやがるんだ」
マシス爺ちゃんは嬉しそうにおっちゃんを馬鹿にしている。
つまり僕と遊びたいがゆえにお風呂に突撃してきたと、みんな僕のこと好きすぎだろ?
というかいきなり裸の付き合いは事案発生じゃないか?
とりあえずそのおっちゃんは『竜帝』と名乗った。
「竜帝って名前なの?」
「ああ、ワシの職号だな。ユニーククラスだから他にいない、だからワシの代名詞でもあるな。一応長ったらしい名前もあるが竜帝と言えばワシ以外にないのでな、それで通る。
名前の方は…まあ、ただの隠居ジジイだ。面倒だから気にしなくていいぞ」
なかなか鷹揚なおっちゃん、いや、爺ちゃんらしい。
話を聞くと昔、マシス爺ちゃんたちと冒険者パーティーを組んで国中を暴れ回ったとか言ってた。
僕の脳裏をバイクで釘バット振り回しながら走り回る一団がよぎったけど…たぶんこれじゃないよね。
「ところでユニーククラスって何?」
「おっ、そこに食いついたか、ふむ、説明しよう、ユニークってのはなんだ…なんだ?」
わからんのかーい、マシス爺ちゃんに話が振られました。
「ユニーククラスってのはよ、同時に二つ以上存在しねえクラスのこったな。
特別な加護とか、称号とかで派生する…らしいぜ。
ほれ、勇者とかだ」
?
爺ちゃんの解説はよくわからん。
よく分からんかったので聞き取り調査をしてまとめてみました。
爺ちゃんの弟子ってこういうので能力が高くなるんだと思うな。
ぶっちゃけユニーククラスというのは
そのまんまだね。
一般級のクラスなんかは条件があらかた解明されていて、狙って取れるのもあったりする。
まあ、それでもクラスを持っている人は少数派みたい。難しいんだね。
だから当然ランクが上がるとさらに取得が難しくなって、中には特定の条件がないと取れない極端に難しいクラスとか、一時代に一人しか存在しないクラスとかもあるんだって。
これをユニーククラスと呼んでちょっと特別なものとして扱っているみたい。
竜帝というのは『大騎士』の職号を持っていた爺ちゃんが、ドラゴンを倒して『竜殺し』の称号を得たときに進化したもので、おそらく世界で竜帝の爺ちゃんだけ。
だからユニーククラスでいいんだってさ。
あと勇者みたいにいきなりその職号が付与されて、条件とかぜんぜんわからんちん。とかいうのもあったりする。
神様たちのやることだから、たぶん思い付きとか、気分とか、そういうものも関係あるのじゃなかろうか?
《まさか~》
? ? ?
まっ、まあ、そんなわけで竜帝の爺ちゃんはとても強い人だということだった。
その割にはフウカ姉ちゃんの攻撃で見事に吹っ飛んでたけど。
「リウ太よ、いいか、男には避けてはならない攻撃というのがあるのだ」
ああ、うん、それは分かるよ。
でもだからと言って竜帝の爺ちゃんが達人である証明にはならないと思うぞ。
「おっ、言うじゃないか、どれ、それじゃ一丁けいこをつけてやろう」
そう言うと竜帝の爺ちゃんは僕のことをひょいと持ち上げた。
みんな僕のことを気楽に持ち運びすぎると思う。
◇・◇・◇・◇
「リウたん、がんばってー」
フウカ姉の声援が飛んでくる。頑張ってって言われてもねえ…
場所は修練場だね、マシス爺ちゃんはこの魔塔の15階から20階と屋上を占有している。
15階、16階、17階が爺ちゃんのお弟子さん関連の施設なんだ。お弟子さんたちのお部屋とか、大浴場とか修練場とかだね。
フウカ姉ちゃんみたいな爺ちゃんのお仕事を手伝う人たちは18階に住んでいる。
僕はとりあえず18階に放り込まれました。
まあ、それはさておき、ここにいるのはみんなお医者を目指している人のはずなのに、なぜかスポーツジム見たいな訓練施設とか修練場とかある。
修練場は広いんだけどどことなく道場みたいな雰囲気で、一番奥に神棚みたいなのがあって、そこに掛け軸があって、掛け軸にはものすごく達筆な毛筆で『エスタル・アーゼ神』と書かれていたりする。
多分これが御本尊なのかな?
あなたの知らない世界ではないけど、あなたのよくわからない世界ではある。
語呂が悪いね。
その修練場で僕と竜帝の爺ちゃんは向かい合っていた。
これはどういう状況だろうか?
「修練だぞ?」
「それは分かるけど」
なぜそうなっているかが問題なのだよ。
ここにはもともと他にも修練している人がいて、僕たちが来たらなぜか人を呼び集めて、どういうわけか僕の応援団が結成されていたりする。
「頑張れ坊主!」
「スパっていけスパッと」
「坊や応援しているよー」
「リウタンていうの? かわいいー」
いいえ、僕の名前はリウです。リウタンではありません。
「チビ助、もし勝ったら好きなもの買ってやるぞー」
「「「「「「セコイ!」」」」」」
うん、そうだよね、竜帝とか言う英雄と子供が戦って子供が勝つと思う方がおかしい。
阿呆は周りにいた人たちにどつかれて倒れました。
「よし、リウ、かーるくやってみるか」
竜帝の爺ちゃんが、面倒くさいから竜爺でいい?
木刀を構えてこっちを見ている。
元が騎士だから盾と剣を装備するみたい。
僕は…素手?
うーん、ますます勝負にならない気がしてきた。
「じいちゃーん」
「おう、頑張れよリウ」
リーゼントのヤンキージジイが二かっと笑ってサムズアップ。
やくにたたねえーーーっ。
仕方ない。
「お願いします」
僕は空手家みたいにしっかりと頭を下げた。
「おっ? おう、、お願いします」
竜爺挨拶は大事だぞ。武道というのは礼に始まって礼に終わるのだ。
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オネガイ。
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