第二章 紡がれる詩

第15話 勇者誕生 


オタール暦 1290年


新しい命が誕生した。

その愛くるしい少女は田舎の農民の家に生まれた。

名前はセリナ・ボーラッシュ


そんな平凡な家に生まれた彼女にはある定めがあった。

彼女のステータスカードにある称号には…

【勇者】と…





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私はセリナという名前をもらった。

あ,そうそう私は死んで新しい体を神様とかいう胡散臭い女の人に助けられて転生してもらった。

そう転生者なんです!私!

と言っても農家の娘ってこともあってダラダラーっと生活しているだけで何も進展がない。近所にも歳の近い女の子もいない。

正直言えば何も面白いことはない。


でもお父さんとお母さんは優しいしそこは嬉しい。

現在は8歳で10歳からの学校がまたどうしくてでたまらない。


ということで、本が読みたい!!


「ねぇお父さん、私図書館行きたい!」

「図書館か…よし明後日、王都の国立図書館に連れて行ってやるぞ!」

「良いの!?やった〜!」



ふふっ,どこの世界でもお父さんは娘に弱いんだね〜



そして2日後




私は図書館で2つのあるものを探していた。

1つは、この世界のこと。

2つは、勇者についてこと。



世界について書かれてある本は多かったのだが…勇者についての文献は閲覧禁止になっていたり、数が少なかったりして情報はあまり収集できなかった。



その中で少しでもわかったもの。


この世界には(魔人族・魔族)を総称したデモンズという種族があり魔人族が統治している種族があるらしい。

そして彼ら魔人族は、エルフとは違う尖った耳を持ち、死の色に染まったような真っ赤な目を持ち、魂を吸い取ってしまう醜悪な連中ということだった。

しかし、そいつらを討伐できるのが勇者らしい。魔族には使えない聖魔法を操り無双し、人間界に安永をもたらす人物という大雑把だが情報を仕入れることができた。



「わたしの称号にある勇者って…この勇者しかないよね?」


一人でぶつくさ言っていると図書館の係りの人に注意されたり、少し恥ずかしかった。


でもそっか…魔人族かぁ…

怖いのかな?でもここには結構怖そうに書いてあるし…

戦わなきゃいけなくなったときには、正直怖い…


私は少し図書館の係りの方の目を掻い潜って禁書ルームに来ていた。


ここなら勇者についての情報が手に入れられるはず!!


その部屋にある本は全て羊皮紙で書かれていた。いかにも高そうな代物だ。

ポテポテと歩いていると一度感じたことのあるオーラを感じた。


「この本かな?」


少し背伸びをして他の本に比べて薄い本を取った。

その本を開くと…対して何も起こらなかったが少しだけ自分の体がぶるってした感じがした。その感覚が終わり本を見下ろすと…


本の表紙しか無い状態になっていた。



結局勇者についての情報が特にないままわたしとお父さんは家に帰った。





帰りの道中、馬車の中で黄昏ていた。





私は日本という国で生まれた。

この世界みたいに自然がいっぱいな場所では生活しなかったからこの環境が嬉しくも思う。でも、モンスターや魔族…危険なものがいっぱいある。

前世と全く違う環境が嬉しい…

でも、ひとつ足りないものがある。


私の心の拠り所だった男の子がいないことだ。まぁ、当たり前なんだけど…それでも居ないと安心できない。


「はぁ……何で死んじゃうかなぁ…」


『ん?どしたんだセリナ?』


『え?あ,何でもないよ!』


『そうか…俺の聞き間違いだな』


お父さんが笑いかけてくれた。

でも、私が笑いかけて欲しかったのは……



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