最後の我儘を貴方に
宵闇(ヨイヤミ)
第1話
私には昔、心から愛した人が確かにあった。
その人は私の友人を好いていたが、なんの気まぐれか付き合っていた時期もあった。
今ではそれはただの過去にすぎない。いつの世も、一番大切なのは過去ではなく現在である。
ある日私は勉学に集中しようと思い、面倒な事を考えたりすることをやめてしまおうと思った。そこで最初に浮かんだのが貴方だった。
この、今も貴方を好いているのかが分からない、複雑とも言えるものをどうにかしようと思った。が、私は馬鹿だったので方法が全く思いつかない。考えに考え抜いて出た答えが“貴方から嫌われること”だった。
しかしどうすればいいのかすらも分からなかった私はまた考えた。考えながらやることをやり続けたのだ。
そしてある日思いついた。
『思っていないことであろうとなかろうと、貴方に対する事を色々と言えばいいのではないか』と。そしてこれが予想通り効いてくれたようで、貴方は私の思った通りに動いてくれた。
とある人からは物凄く心配された。
だが私は今これでよかったと思っている。
このなんとも言えない思いが恋愛感情からくるものなのかが分からない以上、私は処理が出来ない。それにもしそうだとしても今更何も出来やしないのだ。
そんなものを持っていたって仕方がない。
それに今ではすっかりどうでもいいと思えてきている。それも色々あったお陰なのだろうか。
嘘も言い続けると真になる、そんな言葉が脳裏をよぎるが、これがまさにその事かと思った。
この言の葉がもし本人に届くのならと、心のどこかで思ってしまうが、本当に届いてしまえば私はどうすればいいのか分からなくなってしまうだろう。
あぁ、鈍感で愛おしかった君よ。
真実など知らず、貴方が真実だと思ったものでも信じていてくれ。私にはその真実が嘘だと分かっていても訂正してあげることが出来ない。
これは私の願いであり、我儘なのだ。
どうか、私のことを嫌っていてくれ。
でないとまた心が揺れてしまう。
また貴方を困らせてしまうから____
皆さんの願いはなんだろうか
最後の我儘を貴方に 宵闇(ヨイヤミ) @zero1121
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