ミクル編 可能性は無限大!
ミクルは街の中を彷徨っていた。
「何なのですか!?これは…!」
異世界の物はミクルにはどれも魅力的だった。映る景色がキラキラしていて興奮していた。
「だめなのです。まずはこっちのママに逢わないと…たしかミロクっていう人に会わなきゃいけないのです。」
「はぁ、今日も疲れた…。」
遥はバイト帰りでふらふらと帰路についていた。曲がり角を曲がると走ってきた女の子にぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい!…え?」
女の子は気絶してしまっていた。遥はとりあえず自分の家で手当てをすることにした。
「う~ん…あれ?ここはどこなのですか?」
「あら、起きたの?ごめんなさい。注意してなくてぶつかっちゃったの。手当はしておいたから安心して。」
「大丈夫なのですよ。ミクルは勇者なのですから。」
「偉いね。そんな勇気があるのは。私なんていつも…」
遥は写真盾を取り、写真を見つめている。
ミクルが覗くと二人の男女と女の子が一緒に写っている。その男は見たことがあった。それは有間だった。
「いつも私は勇気がなくて…後悔ばかりするんだから。」
「そんなことはないのですよ!後悔するから自分の悪いところを見つけられて変えようと努力できるのです。」
「そうだね。私も前向きに生きなきゃ。」
「その調子ですよ。」
「そうだ、名前まだだったね。私は未波遥。」
「ふふん、ミクルなのですよ。」
「ありがと、ミクルちゃん。お礼に何かできることはないな?」
「ミロクっていう人を探しているのです。」
「うん、一応知ってるよ。あの人との繋がりだからね。」
ミクルは遥に目的の場所を聞いた。
「オッケーなのです。」
「うん、気を付けてね。」
「また逢いたいのです。」
「えっ?そうだなぁ。うん、いいよ。」
「やったのです!初めての友達なのです!」
「あ、あはは…」
そうしてミクルは遥と別れて目的の場所を目指した。
その後ろ姿を見送りながら言った。
「どうせいるんでしょ。あの子は有間のこと知ってそうだったし…」
「ありゃ、ばれていましたか。」
屋根から薄黄色の髪の女性が降りて来た。
「どうせいると思ってたよ。有間は用心深いからね。」
「さすが小さいころからマスターと一緒にいる付き合いですね。」
「当然でしょ。あいつのことは大体わかるの。それより、有間に伝えておいて。あんな小さい子まで巻き込むなって…」
「嫌ですよ。伝えたところで私がお仕置きされますから。」
「ま、いいよ。あいつがまだ元気なのを知れただけで…」
ミクルはある場所へ来た。とても暗くて怪しい路地裏だった。
「あら、お客さんですか?まだ準備中ですので…」
「ミロクという人に会いに来たのです。有間さんから聞きました。」
「あなたがミクルちゃんね。フフッ、かわいいお客さんね。」
暗闇の奥から着物の女性が現れた。女性に小さなテントへ案内された。
「お師匠様、例のお客さんですよ。」
奥には青の着物を着た人がいた。
「あなたがミロクさんなのですか?」
「いかにも、我はミロク。汝の運命を見定める。」
「また本職モードになっちゃって。お師匠様、緊張せずに頑張って!」
「わ、分かっている。コホン、改めて言おう。私はミロク。元は僧をしていたが今は占い師をしている。」
「占いですか?」
「そうだ。私は数多なる可能性を視ることができる。その中から当人の選択を予測し、確実に当てられる。つまりはその通りにすれば必ず当たるが、なにせそれは本人次第でいかにも変わるということだ。」
「??」
「お師匠様、また難しい話を…。この子はまだ幼いですからもっと分かりやすくおっしゃってください。」
「はぁ、そういう対応は苦手なんだ。確か有間はこの子を空間に連れて行けと言っていたな。私ではあまり話せないからな。ヨミ、案内してやれ。」
「ですが、それでは準備が…」
「身の回りの支度程度なら一人でできる。」
「分かりました。じゃあミクルちゃん、手を握って。」
「分かったのです。」
ヨミという女性の手を握ると周りの景色が白くなった。
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