お嬢様の付き人になったら、疑問が増えました

翌日からミシェイルはレナリアとともに勉強やお茶を共にすることになった。部屋で身支度をしていると、迎えの侍女がやってきてレナリアのもとに案内される。

レナリアは一部のすきもなく準備が整っており、ミシェイルがやってくると笑顔で迎え入れた。


「おはようミシェイル、今日からよろしく」

「おはようございます、お嬢様」

「わたくしに付きそうために衣装が必要よね。わたくしのおさがりで申し訳ないのだけど、今から着てもらうから。ライラ、よろしく」

「承知いたしました、お嬢様」


やってきたのはお嬢様の専属侍女と豪語していたライラだった。彼女は気まずそうにミシェイルの前にやってくると、こちらですと別室に案内する。


「敬語でお話ししましょうか、ライラ様?」

「お、おやめくださいミシェイル様」

「あなたのことはまだ話してないわよ、ライラ様?」

「ば、馬車でのことは大変申し訳なく」


ミシェイルがこのような対応をされることで客人であることがやっと理解できたのか、ライラは恐れるように青ざめた顔を向けた。


「これからよろしくしてくれたら問題ないわ、どうぞよろしくね」


ミシェイルに脅されていると思っているのかびくびくしながら着付けを始めるライラ。


(この屋敷のおかしな使用人たちのこと、この娘は知っているのかしら?)


今後、話を聞く時間を設けなければと考えながらミシェイルはライラに身をゆだねた。



レナリアのもとに戻ると、パッとレナリアは顔を明るくさせてこちらへやってきた。


「とっても似合うわミシェイル!サイズもピッタリね、よかった」


本当に心からそう思っているのか、よいしょのために言っているのかわからないがレナリアはミシェイルと仲良くしようと努めてくれていた。


「これから歩き方やお辞儀を教えてくれる先生がいらっしゃるから、一緒にやりましょう。そのあとは歴史の勉強で、お食事のときにマナーのレッスンもあるわ。そのあとはね……」


嬉々として語るレナリアだが、5歳の子供に対し明らかに一日のスケジュールを詰め込み過ぎている。あまり子供の体にはよくないとミシェイルは考えるが、レナリアは大丈夫なのだろうか?


そのように考えながら一緒に過ごしたが、レナリアはさすが悪役令嬢なのかスペック高くなんなくこなしていた。しかしまだ3歳でもあるミシェイルはついて行くのがいっぱいで、そこを使用人たちや教師たちにぐちぐち嫌味を言われるもどうでもよかった。

もっと残念なことに、レナリアがミシェイルがついていけないことについて心底不思議そうにしていることだった。

「主人公なのだし、これくらいできるはず」というよな視線を感じる。


(普通はできないことをできて当たり前のように言う……ここの人たち、なんだかずれてる気がするのよね)


くたくたになって部屋にもどったミシェイルは、ジュダスとシェーナは心配をしながらミシェイルの世話をし本日の報告をすることになった。

 

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