『Fortunete Love』(BL)

※注意※

・こちらはBL(ボーイズラブ)要素が含まれております。苦手な方は即座に閉じてください。

・演じる際は演者の性別固定でお願いします。

・台本使用時、タイトルと配役だけで構いません。

・所要時間約15分。



《登場人物》

郡司ぐんじ 涼希りょうき

22歳、185cm、タレント俳優

茶髪短髪、茶色眼

軟派、美人に弱い

ワンコ気質



龍樹たつき 流重るえ

17歳、172cm、高校生

黒の短髪、黒眼

意地っ張りで警戒心が強い

人気俳優を従兄弟に持つ



↓以下本編↓

────────────────────



《都内、芸能事務所があるビル。モデルフロアにて》


涼希

「はい、お疲れッス! と、次は何だっけなー、……ん?」


流重

「……」


涼希

「ねぇ、君。こんなとこでどうしたの?」


流重

「……」


涼希

「そこの美人なかわい子ちゃん! 待ってよ、無視しないでくれないかな・・うーわ、あっぶね」


流重

(肩に手を置かれ振り払う。)

「……何」


涼希

「いや、それオレのセリフ。一応ココ、芸能事務所だから。……あぁ、もしかして新人? オレの事分かる?」


流重

「……」(無表情で無視して歩き出そうとする。)


涼希

「ちょ、ちょっと、無視はいけないよー?」(行く手を遮るように顔を覗き込む。)


流重

(遮られて足を止めると眉間に皺を寄せながらポツリと。)

「……ない…」


涼希

「ん?」


流重

「知らない。それに新人じゃない」


涼希

「そっか、ならどうしてこんなとこに? 誰かに会いに来たにしては手ぶらだよねぇ」


流重

「……俺…従兄弟に」


涼希

「なに?」


流重

「従兄弟に、用が、あって」


涼希

「いとこ? え、ここで仕事してる人なら案内出来るかもしれないけど、その人の名前は?」


流重

「……成征なりまさ


涼希

「成征って、え、龍樹たつき 成征なりまさ!? は?! いとこぉ!? マジかよ!!」(ガシッと両肩を掴む。)


流重

「!!」(肩を掴まれ固まる。)


涼希

「すっげ、マジでいとこ?! 羨ましすぎンだけど!? つか、成征なりまささんならさっき帰っちまったよ。なんか忙しそうにしてたから、入れ違いかもな。…にしてもあの人がいとこって──ッ」


流重

「…〜ッ、さわんな!!」(右頬を平手打ち)


涼希

「‥イッ……てぇ。君、商売道具の顔を……」


流重

「うっせ! 急に触るからだろ!?」


涼希

「悪ィ悪ィ、ついテンション上がっちまってさ……結構力強いんだね、君」


流重

「もういい、……帰る。」(踵を返して早足で歩き始めるが、腕を掴まれ、振り払う。)

「〜ッ触んなって!!」


涼希

「悪かったって、もう触んない。けど、ここから出口まで少ォしだけ複雑なフロアだからさ、案内するよ」


流重

「……良い、要らない」


涼希

成征なりまささんって、このフロアには用が無いと来ないんだよ。それなのにここに君が来たって事は、迷ってたんじゃない、道に」


流重

「………」


涼希

「うん、だから、送ってあげる。ついでにお茶でもしない?」


流重

「…は?」


涼希

「スイーツ美味しいとこも知ってるしさ。送るついでに一緒に」


流重

「……それ、ナンパ?」


涼希

「ナンパっつか…まぁ、そうかな」


流重

「俺、男」


涼希

「んえ! お、男?!」


流重

「一人で帰る」(さっさと歩き始める。)


涼希

「男だったのか。─ッて、そっちは出口じゃないから! 待て待て、こっちだって!」



【間】



《数日後。夜半過ぎ、涼希の自宅マンションのリビングにて》



涼希

「ほら、そこのソファに座って待ってて。今救急箱出して来るから」


流重

「……ん、ごめん、なさい」


涼希

「良いって。家の鍵は明るくなってから一緒に探しに行こう。落としたのはあそこだろ?」


流重

「そう。……多分」


涼希

「暗いと見つかるモンも見つからないしね。……えーっと、どこだったかなぁ……」(救急箱をゴソゴソと探し始める。)


流重

「……」


涼希

「あーれ、ここに置いたはず…ん、こっちか?……お、あったあった。お待たせ」


流重

「……自分でやる」


涼希

「額と、頬もあるだろ? 足は出来るかもしれないけど顔は無理じゃね?」


流重

「……でも」


涼希

「でももヘチマもねーの。良いからほら、顔こっちに向けろ。あーあー、キレイな顔が台無しじゃんか」


流重

「キレイじゃないし。俺男だし。…ッつ……」


涼希

「少し沁みるからなー、我慢しろー我慢ー」


流重

「いッ……ん、つーか、黙ってやれよ」


涼希

「はいはい、大人しくしてろよー?」


流重

「…、…ッ……」(触られる度に体がビク付く。)


涼希

「……それにしても」


流重

「んぁ?」


涼希

「こんな時間に携帯鳴るからなんだろうと思ったら、助けてとか言うんだもんなー。何事かと思ったぞ?」


流重

「…、…だって……成征なりまさは、仕事で海外だし、…他には……こんな時間だと駄目だろうし」


涼希

「最終手段に残れてて良かったわ。……ほい、額と頬の擦り傷の消毒完了。軽い怪我だったから良かったものの、大怪我だったらどうしてたんだよ」


流重

「……さぁ……動けないならそのまま野垂れ死ぬんじゃない?」


涼希

「……足の擦り傷も見せて」


流重

「足は自分で(出来るから)」


涼希

(言い終わらない内に遮って。)

「良いから!」


流重

「ッ!……」(黙って転んで挫いた足を差し出す。)


涼希

「……」(嘆息した後手当てを始める。)


流重

「……ごめん」


涼希

「……よし、終わり。さてと」(手当てを終えると救急箱を片付け、そのままキッチンへ行こうとする。)


流重

「あ、……ごめんって、──イッ」


涼希

「座ってな。今コーヒーでも持ってくるから」


流重

「え、でも」


涼希

「オレが飲みてぇの。付き合えよ」


流重

「…あ……うん」


涼希

「ん、良い子」


流重

「いいこ、じゃないし……」


涼希

「あはは、そうか? ミルクとか砂糖は要るか?」


流重

「いや……要らない」


涼希

「この時間にブラックとか、寝れなくなンぞー」


流重

「そう言うアンタはどうなの」


涼希

「おっと、それは言わないお約束。……はい、どうぞ」


流重

「あ、ありがと」


涼希

「どういたしましてー」


流重

「……ッ?! な、んだよこれ、濃っ!!」


涼希

「ん? なんだよって、コーヒーだよ」


流重

「それにしても濃すぎ。何だよ、いつもこんなん飲んでんの!?」


涼希

「そうだけど」


流重

「アンタ、舌が馬鹿なんじゃない?」


涼希

「濃い方が美味いだろ」


流重

「……〜〜、俺が、淹れる!」


涼希

「は? いや、お前、足首、くじいて……」


流重

「関ッ係、無い! 俺が淹れ直す、カップ寄越せ!!」


涼希

「っふふ、はいはい。……──全く、可愛いなぁ、ほんと」



【間】



《翌日。流重がバイクで転んだ現場にて》



流重

「泊めてくれたり送ってくれたり、ありがとう。後は一人で大丈夫」


涼希

「いや、二人で探した方が早いって。バイクは?」


流重

「……今朝友達から連絡来て、回収してくれたみたい、で。鍵は探したけど見つからなかったって」


涼希

「そっか、じゃあオレはこっちの方探すから流重るえはあっちね」


流重

「分かった、ありがと」


涼希

「さてと……ん? あの光ってるのは…──…あぁ、あった。流重るえー?」


流重

「……」


涼希

「聞こえないみたいだな。とりあえず拾っといてっと。……なぁ、流重るえ


流重

「何? 見つかった?」


涼希

「……んー…いや…、まだ、だけど」


流重

「じゃあ早く見つけてよ」


涼希

「うん。……鍵、見つかったらやっぱり…」


流重

「帰るに決まってンだろ。これ以上迷惑掛ける訳にもいかないし。当たり前の事聞いてどうすんだよ」


涼希

「あぁ……だよな」(手に持っていた鍵を何故かポケットに仕舞い込んでしまう。)


流重

「くっそ……もう少し早く来れば良かった……もう夕方じゃん」


涼希

「暗くなって来たし、帰ろうか」


流重

「帰るったって……」


涼希

「まぁ、小さいもんだし、そう簡単には見つかるわけないって。な?」


流重

「……ちょっと、邪魔、どいて」


涼希

「寒くもなって来たし、帰ろう」


流重

「勝手に帰れば良い。俺は見つかるまで帰らないし帰れない」


涼希

「あっそ、ならお先。最近変質者とか出てるらしいから襲われないようにね」


流重

「え、襲わ、れ…?」


涼希

「キレイな顔してるから狙われそうだしね。まぁ、大丈夫だろうけどって、……おい、なんだ?」


流重

「…ッ……」(去って行こうとする背に抱き付く。)


涼希

「{震えてる?}……どうしたー、大丈夫か?」


流重

「ッ、…待っ……置い、て、か、ないで……」(消え入りそうな声になり。)


涼希

「ん、大丈夫」


流重

「……」


涼希

「………」


流重

「……ごめん、急に……」


涼希

「いいや、オレのが変な事言っちまったしな。悪かった」


流重

「別に……良い」


涼希

「おっし、そろそろ帰るか。また美味いコーヒー淹れてくんね?」


流重

「……同じのしか、使ってない……」


涼希

「あーれ、そうだっけ?」


流重

「コーヒーだけで、良いなら。いくら、でも」


涼希

「ん。じゃあ……帰ろう、オレんちに」





END

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