第1話 クソガキとの『思い出』
1
苦しい。
なんだ、この押しつぶされるような圧迫感は。
生暖かい何かが、腹の上に……
しかもなんか揺れて――
「ふはははは」
目が覚めると、まず視界に入ったのは、小さな背中だった。
栗色のロングヘアを垂らした、小さな背中。
幼女向けのアニメがプリントされたTシャツにデニム素材の短パンという夏らしい服装。
隣の家のクソガ――女の子、
「ふはははは、じゃねぇ。お前、いつ上がり込んだんだ」
時計に目をやるとまだ九時前だった。
「お前、日曜なのにいつまで寝てるんだ」
「なんだと」
未夜の脇に手を差し込み、くすぐる。
「おわ、おばさんが入れてくれたんだよ、うひゃひゃ」
「あのババア、こんな朝っぱらからうるさいのを」
「あひゃひゃ、やめ、やめぇ」
未夜は隣の家に住む小学一年生。
お隣さんという縁から、こいつが赤ん坊のころから何かと世話をしたり遊んでやった。昔は可愛げがあったが、小学校に上がってからだんだんと生意気になった。
「今日は久々に部活がないオフなんだ。ゆっくり休ませろ」
女の子は成長が早いとか、マセてるとか、そういう類のものではない。
「あー、一回戦で負けたから今日は休みなんだってな」
「このガキ」
「うひゃうひゃうひゃひゃ」
そう、こいつは……
「や、やめ、ギブギブ」
「ふう、疲れた。くすぐりすぎて汗かいたわ」
「なんだ、夏バテか。ザコめ」
俺を舐めてるのだ。
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