コーヒーの香る日常

浅葱 黎

第1話:プロローグ

 コーヒーの雫が一雫が跳ねる。


 セミロングの黒い髪の先の神経まで集中させてポットを傾ける。ポットの口から雫が落ち、コーヒー豆に吸い込まれていく。コーヒー豆はゆっくりと膨らみハンバーグのようになる。

「あちっ...」

高校生の春陽はるひ あけは鼻先を赤くしながらキッチンで声を上げる。

「またやっちゃった。でも、いい香り」

膨らむコーヒー豆の香りをかいでいたとき、鼻を近づけすぎたのだった。気を取り直してコーヒーを淹れる。コーヒーのドームを崩さないよう丁寧に。ドリッパーから一本のきれいな赤茶色のコーヒーの柱が落ちていく。そして、スケールは250gと2分43秒という数字を示す。

 こうして出来上がったコーヒーをお気に入りの水色のコーヒーカップに注ぐ。コーヒーに映る自分の顔を見ながら、鼻から深く息を吸う。

「うん、いい香り」

微笑みながら一言つぶやき、火傷しないようにそっと唇をコーヒーに近づける。

「おいしい。やっぱり、インドネシア・マンデリンの深煎りは間違いない」

そう言ってコーヒーを飲む。外にいた間張っていた気が一気に緩む。飲みながらふと思った。

「なんで私は毎日コーヒーを飲むようになったんだっけ。コーヒーなんておじさんが飲むものだと思っていたのに」





――――――――――――――――――――――

あとがき


はじめまして、浅葱 黎です。

初めての小説の投稿なので読みにくい文章などあるかもしれませんが、広い心で読んでいただけると幸いです。

また、不定期の投稿になるのでご容赦ください。長く更新できない場合には、あとがきや近況ノートにて報告させていただきます。

これから「コーヒーの香る日常」をよろしくお願いいたします。

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